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アイドルが幽霊になった性犯罪者とプログラミングで戦う映画

金曜日, 6月 29th, 2012
携帯彼氏

携帯彼氏

スーフリ事件、歌舞伎町雑居ビル火災、メディアスクラムを背景に、アイドル女優の川島海荷が幽霊となった性犯罪者たちとIT技術を駆使して戦うというテンコモリな内容のケータイ小説映画。

バルス・コマンド

先週のことだけど、レンタルサーバー会社のファーストサーバのデータが吹っ飛んで、多くの企業のデータがバックアップごと消え去った。これはかなりの大ゴトだ。

絶対に消えてはいけないデータが何故消えたのか?ファーストサーバの中間報告でもそこらへんが曖昧に書かれていて真相はわからないんだけど、まっさきに連想するのは「rm -rf /」みたいなコマンドだ。UNIX系OSに触ったことない人にはピンとこないだろうけど、サーバを破壊するには短いコマンドで十分なのだ。このやたら短いくせに破壊力が強すぎる点は『天空の城 ラピュタ』の滅びの呪文:バルスにそっくりだ。

『天空の城 ラピュタ』でシータがうっかり「バルス」って言ったらラピュタは滅びるのか?って疑問に思ったことあるけど、ファーストサーバはそのうっかりバルスが現実に起きたみたいなもんだ。ちなみにシータがうっかり「バルス」と言っても大丈夫のはず、そうじゃないと誰にも伝えられない。

バルス!

バルス

バルテュス!

バルス

本題

今回の事件を受けて一斉消去プログラムが出てくる映画を思い出した。『携帯彼氏』だ。『携帯彼氏』については、映画評論同人誌『Bootleg Love Story』に書いたんだけど、せっかくなので破壊屋でも取り上げてみる。

『携帯彼氏』の基本設定は、イケメンと擬似恋愛できるモバイルゲーム「携帯彼氏」にハマった女性たちが次々に殺されるというものだ。

ヒロインを演じるのはアイドルの川島海荷。

バルス

携帯彼氏のストーリー

「携帯彼氏」にハマっていた里美の同級生がビルから飛び降りて死亡する事件が起きる。

また里美は数か月前に年上のイケメン先輩でパソコンに詳しい直人から、パソコンの使い方を教わっていた。直人に恋する里美だが、直人は新宿雑居ビル火災で焼死してしまったのだ。

里美がパソコンに詳しい直人(左)に恋するシーン。

バルス

よく見ると直人はExcelでグラフを出しただけだが、Excelの機能を使っただけで周囲の人から過剰に尊敬されるのはよくあることだ。

バルス

警告

以下の文章は『携帯彼氏』のネタバレです。それとこの文章は映画評論同人誌『Bootleg Love Story』に俺が書いた「ケータイ小説の愛」の一部抜粋&修正です。

スーパーフリー

新宿雑居ビル火災の原因はそのビルの5階に集団レイプを目的とするサークルがあり、被害者の女子中学生がガソリンを被って焼身自殺したからだ。レイプサークルのメンバーは直人も含めて全員焼死した。里美は色々な意味で大きなショックを受ける。

「携帯彼氏」に殺される女性が続出する中、里美は「携帯彼氏」の顔が、焼死したメンバーたちと同じであることに気が付いた。さらに里美のケータイに入っている「携帯彼氏」は死んだはずの直人だった。

新宿歌舞伎町の雑居ビル火災事件とスーフリ事件をマッシュアップさせた豪快な展開である。

バルス

携帯彼氏の真相

里美は「携帯彼氏」を配信するサーバーマシンを探す出したのだが、そこは火災現場の雑居ビルの6階だった。つまり携帯彼氏事件の真相はこうだ。

レイプサークルのメンバーたちが焼死した時に、上の階にあったサーバーマシンがメンバーを焼いた煙を吸い込み、メンバーたちはサーバーマシンの中で携帯彼氏として存在し続けることになったのだ。そしてケータイに配信されて次々と女性を呪い殺していたのだ。いや、火と水で絶対に使い物にならないだろそのサーバー!

里美の親友が「携帯彼氏」に殺されそうになる状況の中、里美のケータイに非通知で直人から電話がかかってくる。それは死んで携帯彼氏となった直人だった!直人がレイプサークルのメンバーだったという大勘違いは、マスコミがきちんと報道しなかったからの一言で済まされる。ちなみに直人はサーバー管理のバイト中に焼死して携帯彼氏になった。

携帯彼氏に襲われる里美の親友役を演じるのは朝倉あき。まあ中高生向けのホラー映画なので、ジージャンを脱がされるくらいだけど。やたら太ももを強調したカットが多いのも特徴的。

バルス

プログラミングで反撃!

携帯彼氏を倒すには、削除プログラミングを作ってサーバから配信するしかない!そして里美が作る削除プログラミングが↓。

えーとこのカッコの多さはLispでしょうかね。なぜLisp(かなり古いプログラミング言語)なんだ………教育現場で使われているからかな?

バルス

 

「削除プログラムをSCPコマンドでアップロードするんだ!」と幽霊になった直人先輩から指示されたときの画面。本当にSCPコマンドでテキストファイルを送信しているだけだ。っつーか直人先輩、あんたがサーバ内にいるのならあんたがバルスコマンドを入力すればいいのでは?

バルス

バルス!

こうして携帯彼氏たちは全滅したと思いきや………すぐ復活してしまった!復活の理由は説明されないんだけど、ファーストサーバと違ってちゃんとバックアップを取っていたのだろう。

里美は端末の中に焼身自殺した女子中学生のプログラムがあることに気が付いた。里美は女子中学生のデータを配信するプログラムを作る。彼女が携帯彼氏たちを倒すのだ。

バルス

そして里美が最後に作るプログラムというかスクリプトがこれなんだけど………実はこれTomcatの「startup.sh」のコピペ。このシェルはcatalina.shを起動するのが目的なので、最後の一行以外は不要なんだよなー。これを書いている間、里美の友達はずっと携帯彼氏に首をシメられている。まあとにかくプログラムは完成しバルスがさく裂して携帯彼氏は全滅する。

バルス

映画の感想

ケータイ小説映画全作品リストでも書いたけれど、『携帯彼氏』はケータイ小説映画の中では一番面白い作品だ(ただしこのジャンルの水準は著しく低い)。日常生活の中で死が襲ってくる感覚を『ファイナル・デスティネーション』風に派手に描いたり、黒沢清風に地味に描いたりしているし、脚本も社会的事件を取り込んでいるのできちんと観れる作品になっている。

IT関係の描写はツッコミどころだらけだけど、サーバ内に幽霊がいるというアイデア自体は成功している。

その後の携帯彼氏

続編がいっぱいあります。

携帯彼女 [DVD]

バルス

バルス

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