いい男の条件は?というとたくさんある。そんないい男の条件の一つに、日本ではあまり注目されてないけど、アメリカでは重要視されている条件がある。それは「良き父親になれるかどうか」だ。
日本の恋愛モノって、男が将来どういう父親になるのかサッパリ見えてこない。ケータイ小説を読んでいると「こいつは将来育児を妻に押しつけるか、子どもを虐待するんじゃね?」と思ってしまう時もある。ところがアメリカの恋愛モノだと、男がどういう父親になるのかハッキリ明示されるパターンが多い。特に顕著なのが恋愛小説のハーレクインだ。作中どころではなく表紙で主張している。
以前、スットコ部長こと♪akiraさんに教えてもらったネタだけど、ハーレクインの表紙では子どもを抱き抱えているパターンが多いという。調べてみるとあるわあるわ!ずらりとそろったイケメンならぬイクメンたちの画像をご堪能ください。
わはは!子どもを抱きしめるイケメンたち!ちょっと怖いぞ。最多は「カウボーイと赤ちゃん」だけど「億万長者と赤ちゃん」「海兵と赤ちゃん」「消防士と赤ちゃん」「弁護士と赤ちゃん」「FBIエージェントと赤ちゃん」「スパイと赤ちゃん」といったバリエーションの豊富さは、日本のBL文化にも負けていない。
ところで、このイケメンと子どもの関係だけど血は繋がっていない場合が多い。最初の二つの本のように「消防士の捨て子」「カウボーイの養子」とタイトルだけで血が繋がっていないのがわかるものもある。もっとも立派な親とは何か?それは血の繋がっていない子どもの親になれる人のことなのだ。海外セレブが養子を受け入れるのも、そういった価値観が背景にある。
当然ながらこの価値観は映画にも反映され、恋愛映画のフラグとして使われている。フラグの立ち方はこんな感じ。
- ヒロインが男性に会いに行く
- 男性が親戚(または友人)の子どもと仲良く遊んでいる
- ヒロインはその姿から男性に父親像を見出し、結婚相手として見直す
『ベガスの恋に勝つルール』では、キャメロン・ディアズがアシュトン・カッチャーを生涯の結婚相手として強く認識するようになるシーンがある。きっかけは「姪のリトルリーグのコーチをしているから」だ。ネタバレじゃないけど後半のシーンなので画像はリンクにしておく。また『十日間で男を上手にフル方法』でもケイト・ハドソンが、自分の彼氏(マシュー・マコノヒー)が親戚の赤ちゃんをあやしているのを眺めるシーンがある。
- 十日間で男を上手にフル方法
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このシーンはヒロイン目線。彼氏(左)が親戚の赤ちゃんの下の世話をしたので好感度アップ。
- 愛がこわれるとき
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ヒロインが知り合いの男性を祭りで見つける瞬間で、これもヒロイン目線。その男性は友人の赤ちゃんを肩車している。このシーンによってヒロインと観客は、この男性を「ハッピーエンドの相手」だと認識するようになっている。
というわけでアメリカ映画で子どもをあやしている男性が出てきたら、ハッピーエンドのフラグだと思ったほうがいい……と言いたいところだけど、既に逆のパターンの映画もある。例えば「子どもに優しいから立派な父親だと思っていたのに、実はロリコンだった!」とか「変態だから子どもに優しいかと思っていたら、実は普通に立派な親だった!」とか。まだやってないパターンは「ロリコンだけど立派な父親!」かな?映画だと無理なように思われるけど、現実には宮崎駿という実例があるのでなんとかなるかもしれない。『ゲド戦記』のせいで息子と断絶したけど…。
これもBootleg Vol.2 Love Storyの原稿の一部になる予定だったんだけど、やっぱりボツにした。ちなみにBootleg Vol.2 Love Storyの表紙はハーレクイン風だ。