アシンメトリーの映画『コズモポリス』

デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作:『コズモポリス』を観た。主演は『トワイライト』シリーズを通じて顔色が悪い人を演じたロバート・パティンソン。映画の設定は、成功した投資家エリックを演じるロバート・パティンソンがリムジンに乗って、金融パニックが起きているマンハッタンを移動するというもの。

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顔色が悪いロバート・パティンソン。

エリックは行く先々で色んな人と会うが、一度会った登場人物の多くが二度と出てこない。劇中のエリックは彼らと哲学的な会話を重ねる。残念ながら会話の内容を追うのはかなり難しく退屈だ。一番印象的なのは年上の愛人演じるジュリエット・ビノシュ(もう50歳近い!)とのラブシーン。

投資によって世界の金をかき集めるエリックだけど、彼自身の世界はおそろしく狭い。立ち上がることすらできないリムジンの中で完結している。トイレすらもリムジンだ。


以降:ネタバレ


この映画は後半になると非対称(アシンメトリー)のモノが多く出てくる。エリックは体内に非対称を持ち、顔半分だけクリームがついたままにする。またエリックの周囲にも非対称の顔を持つ男がいる。逆にエリックの失敗の原因となったのは対称性のある市場理論だった。

エリックがリムジンから解放されたとき、クライマックスとして究極の非対称が出てくる。イケメン金持ちであるエリックの非対称、それは無職のポール・ジアマッティだ。ポール・ジアマッティ演じるベノはエリックを殺そうとするが、エリックはベノを殺そうとしない。エリックにとってベノは非対称の自分だから。そして俺にはこの映画の結論がわからなかった。だって終わり方が…。

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