『カーラの結婚宣言』より。ヒロインの父親が、ヒロインの恋人を評するときのジョーク。ヒロインの一家はバリバリの共和党支持者なので、恋人が民主党員でないことがネタになる。
アメリカと日本の恋愛ドラマでは、主役カップルが乗り越えていくモノが違う。日本だと主役カップルが乗り越えていくものは、二人の運命を邪魔するすれ違いや難病や事故だ。
アメリカの恋愛映画だと、主役カップルが乗り越えていくのは、お互いの価値観の違いという場合が多い。価値観の違いを乗り越えて、お互い「I NEED YOU」の関係になる。
もちろん上記のような区別は「そんな傾向がある」程度のものだと思ってほしい。で、アメリカの恋愛映画で描かれる価値観の違いで一番多いのは………とうぜん「男と女の価値観」だ。でも他にも大変わかりやすい価値観の違いが存在する。それが支持する政党の違いだ。よくあるパターンは
- 主役がリベラルな思想の持ち主
- お相手もリベラルだが、両親がバリバリの共和党支持者
- 主役がお相手の両親に会ってタジタジとなる
という感じ。アメリカ映画では、登場人物が共和党と民主党のどちらを支持しているか明示される場合が多い。その登場人物の性格を簡単に表現できるからだ。そんな恋愛映画の1シーンを集めてみたよ。
- 恋は嵐のように
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ヒロインの父親がヒロインの彼氏を受け入れられない。「彼氏がクリントン(民主党)に投票したから?」のセリフで父親が共和党支持者だということがわかる。
- ユー・ガット・メール
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男がメグ・ライアンに対して「君の新しい恋人が共和党員でもかまわない」と言っている。この二人はリベラルだ。
- トゥー・ウィークス・ノーティス
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リベラルな女性を演じるサンドラ・ブロック(左)は人生で二回しか泣いたことがないという設定。父ブッシュが大統領になった時と、子ブッシュが大統領になった時の合わせて二回という意味。リベラルなので悔しくて泣いてしまった。ブッシュはもちろん共和党。
- メラニーは行く!
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ヒロインは婚約者を両親に合わせたくない。婚約者が「僕がヤンキーだから?」と聞くと「そして民主党だから」と答える。ヒロインの周囲の人間は南部の保守派だらけ。
- バードケージ
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息子の恋人の家族が共和党の政治家だと知って驚く父親。息子は「アメリカの半分は保守だ」と説得する。そもそも父親はゲイで、周囲に保守派の人間がいない。
- きみがぼくを見つけた日
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主人公がヒロインの父親に会いに行くシーン。ヒロインの実家には剥製がある⇒つまり父親はハンター⇒全米ライフル協会を支持している⇒共和党。ということがわかる。ラフな格好している主人公は居心地が悪い。
- きみがぼくを見つけた日
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主人公の父親がヒロインの父親に挨拶しに行くシーン。主人公から相手が共和党員だと聞かされて困ってしまう。結婚の挨拶なのに父親がネクタイをきちんと結んでいないのも特徴的。
- ミート・ザ・ペアレンツ2
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主人公の父親がダスティン・ホフマン演じるリベラルなユダヤ系で、ヒロインの父親がロバート・デ・ニーロ演じる保守派。やはり剥製が原因で対立が明確になる。
性別や政治の他にも人種の違いや宗教の違いがネタになる。付き合っていた相手がユダヤ系で宗教がユダヤ教だったというパターンみたいに。というかアメリカが抱えている問題全てが恋愛映画の要素になる。アメリカの恋愛映画は細かいセリフでそういった要素を表現していて面白い。俺が恋愛映画が好きになったのも、そんな理由がある。
ところで最初に「日本の恋愛は障害を乗り越えるというパターンが多いと書いた。数年前に日本で韓流が大ブームになったけれど、あのブームの原因はわりと単純で
- 韓国のドラマはとにかく話数が多い
- 脚本が長大になるので、恋の障害が自然と増えていく
- 次々に起こる恋の障害に女性たちがハマる
だったのかも。
このエントリはBootleg Vol.2の原稿の一部になる予定だったんけど、ちょっとイマイチだったのでBootlegにはもっと別の原稿を送りました。