『アバター』を超える究極の3D映画が誕生した!『劇場版『ペ・ヨンジュン3D in 東京ドーム 2009』』だ!映画のタイトルを記述するときに『』を使っている破壊屋にとっては実にハタ迷惑なタイトルだ。
ライブ映像を3D撮影して映画館で公開した作品といえば『ジョナス・ブラザーズ/ザ・コンサート3D』が去年日本中のシネコンで公開されたけど誰も観に行かなかった。だが今度はジョナス・ブラザーズよりずっと知名度があるペ・ヨンジュン、あのヨン様が大スクリーンから飛び出してくるのだ。「あのお方が3Dで飛び出してくる!」というコンセプトだけで映画が作られるのは、マイケル・ジャクソンとペ・ヨンジュンの二人しかいない。マイケル・ジャクソンは人間じゃないので、人類では唯一ペ・ヨンジュンだけが3Dで飛び出す価値のある人間ということだ。
『冬のソナタ』を一秒たりとも観たことのない俺だが、俺だって韓流オバ様たちと一緒にスクリーンから飛び出るヨン様に触ろうとして、空中で手を動かしてみたい!そんな思いに駆られていたが、男性単独客の俺が映画館の行列に並んでいたら、確実にマスコミのインタビューを受けるだろう。オバ様たちに囲まれた状態でマスコミに「どうしてこの映画を観に来たのですか?」とインタビューされたら「いや、男でもヨン様好きッスよ」としか答えるしかない。そんな恥を晒すわけにはいかない!と思っていたのは余計な心配で、実際のところこの映画は不入りで客も少なかった。さらにヨン様ファンからの評判も悪いんだよなー、どうしようも無い映画だ。
- ヨン様はプライスレス
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ちなみに映画の一般料金って1800円なんだけど、3D映画料金は200円、IMAX料金も200円する。つまり3D映画をIMAXで観ると+400円となって、2200円になるのだ。
では『劇場版『ペ・ヨンジュン3D in 東京ドーム 2009』』がいくらかというと………
映画料金が3500円!高えよ!3500-1800(一般料金)-200(3D料金)=1500(ペ・ヨンジュン料金)ってことか。クソ高い料金を支払って劇場内に入ると男性客は俺一人。今まで1000回以上は映画館に行ったけれど、女性客に囲まれた状態で男性客が俺一人になったのはこれが始めてだよ。
そして映画本編が始まったんだけど別にライブ映像とかじゃなくて、2009年に東京ドームで行われた単なるイベント映像集だった…。というわけで今から全部ネタバレするけど、別にいいよね?
- ヨン様3D
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東京ドームに集まった韓流オバ様の大歓声を浴びながらヨン様登場、ちゃんと3Dカメラで撮影しているのでヨン様が立体的に見えて面白い。ヨン様が花道を歩いていくと………その先からチェ・ジウ(『冬のソナタ』のヒロイン)が登場する。ヨン様とチェ・ジウが見つめ合いながら抱き合うと45000人のオバサマたちの悲鳴が挙がる。冬ソナの1シーンを再現したと思われるが、いきなりクライマックス的な展開で面白いシーンだった。しかしここから映画はもの凄い勢いで失速する。なぜなら次に始まるのが単なるトークショーなのだ。
- トークショー3D
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場内が落ち着くと、福澤朗が出てきてひたすらヨン様をヨイショする。そしてアニメ版『冬のソナタ』の声優たちが登場して声優トークショーが始まる。トークショーを3D映像で観てもしょうがないだろ!俺も今度トークショーデビューするけど、3D映像にして売り出そうかな。
しかしこのトークショー3Dはまだ面白かった。大舞台でも動じていないヨン様とチェ・ジウはさすがだが、声優陣が大観衆を前にあからさまに動揺していて面白い。声優をやっているイ・セナという女優が美女で、少しだけつたない日本語を喋るのがかわいかった。下の画像がイ・セナさん。
イ・セナは超ミニスカートを穿いているにも関わらずローアングル。ミニスカートの奥行きと太ももの3D映像はちょっと迫力があった。また10歳くらいの少女声優も出てくるので、ロリコン対策もバッチシだった(ここで言うロリコン対策とは、ロリコンを拒否することではなくて歓迎することです)。
こうしてトークショー映像を20分くらい(長いよ!)見せ続けられたあと、もっと酷い3D映像を見せ付けられるハメになる。次はアフレコ風景の3D映像が出てくるのだ。
- アフレコ風景3D
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ヨン様とチェ・ジウがアニメ版『冬のソナタ』にアフレコするところが3D映像で見れる!というが、それに何の意味があるんだよ。面白くもなんともないアフレコ風景が終わると、福澤朗が「それでは本日のクライマックスです!」と叫ぶ。いや、まだ映画が始まって40分なんだけど。これはどういうことかというと、ヨン様ライブは二日間にまたがって行われていて、今の映像はその一日目なのだ。ヨン様ファンには常識なんだろうけど、俺は全く知らないので驚いた。っていうか映画の中で説明してくれよ!ものすごい手抜き編集なのでライブの状況がさっぱりわからない。
- 東京ドーム内をヨン様が飛ぶ!
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ニュースでもちょっと話題になったので知っている人もいると思うが、この日のクライマックスは東京ドーム内をヨン様とチェ・ジウが気球で飛ぶという一大スペクタクルだ。東京ドーム内で飛ぶという点では仏陀再誕っぽくてカッコいい。どっちも教祖様を描いている映画だし。
3D映像としては、それほど飛び出していなくてガッカリ。福澤朗は「最後にサプライズがあります!」と煽っている。俺はてっきりヨン様とチェ・ジウがキスするのかと思いきや、ヨン様の気球とチェ・ジウの気球に描かれている絵がキスするだけ。何じゃそりゃ。しかも気球の高さが合ってないので唇と唇の位置が合ってない。右下の写真のように気球と気球がくっつくだけだった。ここまでの展開はこのブログでも詳しい。チェ・ジウのド派手な装飾がついたスカートの写真や、前述のミニスカ美女の写真もある、気球のキスシーンもある。
- ヨン様の詩朗読3D
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この時点でもかなり苦痛だったが、映画本編は加速度的に酷くなっていく。こんどはヨン様が執筆したという本『韓国の美をたどる旅』をヨン様自身が朗読するシーンが延々と続く。もう3D映像の特性は一切無い。朗読の内容は韓国文化や観光地の素晴らしさを伝える内容。この企画って絶対に旅行会社がスポンサーだろ。「ヨン様が韓国の文化や観光地を紹介する⇒オバ様たちが韓国へ旅行する」という鉄板の流れ。そういえば去年はヨン様のマネージャーの結婚式の中継映像を観るツアーなんてのものあったし(ヨン様のマネージャーなので、結婚式にヨン様が登場する)。韓流商売恐るべし。
朗読が終わると映画は脅威の展開を迎える。3Dで飛び出すのはヨン様だけじゃなかった!
- 韓国の漆職人3D
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ヨン様が漆塗りを勉強しているということで、ヨン様を指導した韓国の漆職人のインタビューが始まるのだ。もはやヨン様すら関係無い展開に、はっきり言ってブチ切れそうになったが、意外な展開もあった。インタビュアーが「漆塗りは中国から朝鮮半島を経由して日本に伝わり…」と説明すると、韓国の漆職人が「違う!漆塗りの起源は日本だ!日本から伝わったのだ!」と主張した。漆の歴史の真実はまだよくわかってないんだけど、とりあえず嬉しい。しかし映画本編はどんどん的外れな方向へ。
- 服飾デザイナー3D
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今度は服飾デザイナーのオバちゃんが出てきて、韓国での風呂敷(ポジャギ)の使い方を説明している。こんなもんを3Dメガネをかけながら観ている自分が悲しくなってくる。オバちゃんは「日本人は素晴らしいです!ペ・ヨンジュンの素晴らしさに気がついていたなんて!」と日本人をベタ褒めするが、それって裏を返せばペ・ヨンジュンが韓国国内でそれほど人気が無いってことだよね?
- 旅行会社の社長3D
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最後に旅行会社のオッサン(意外にも白人だった)が出てきて韓国旅行の素晴らしさを訴える。やっぱり宣伝だったか。結局のところ、俺は旅行会社の壮大な宣伝を3500円払って観ていたわけだ。韓国の情報が一杯手に入ったのに、何故かだかすごい情弱になった気分だよ。
- 手紙3D
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ヨン様がいったん退場すると………日本の郵便ポストと共にヨン様が再び登場!何故郵便ポストなのか?それはヨン様が日本のファンに向けて日本語で手紙を書くのだ。実際のライブでは30分あったというこのシーン。映画本編では半分の15分にカットしたが、それでも絶望的なほど長い。15分間手紙を書くところを見せられ続けた。俺はもうメガネを外していたよ。『アバター』なら3時間でも余裕で耐えられるんだけどね。
- 韓流オバ様3D
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これが終わるとヨン様の退場シーンなわけだが、ここでようやく3D映像の素晴らしいシーンが見れた。『アバター』を3Dで観た人ならわかると思うが、『アバター』で3Dの特性がもっとも発揮されたのは美しきパンドラの映像ではなくて、一番最初の宇宙船内部のシーンだ。あの宇宙船内の奥行き感こそが3D映像の特性なのだ。『劇場版『ペ・ヨンジュン3D in 東京ドーム 2009』』にも似たようなシーンがあった。東京ドーム内の観客席の奥行き感が3D映像によってものすごい迫力になっているのだ。もちろんそこに写っているのはズラッと並んだ45000人の韓流オバ様たちのお顔である。これが鮮明で立体的な映像として楽しめるのだ。俺がけっこう熟女好きということは差し置いても、一度は体験してみるべき映像である。
- パンフレット
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こうして3500円を損した俺は1500円のパンフレットも購入。サイズもページ数も普通のパンフレットと同じだけど、文章というものがほとんど使われておらず。ライブの情報が一切書いてない。その代わり3万円もするヨン様壁時計のチラシが入っていた。俺は100分の間に5000円を無駄にした。ちなみに『劇場版『ペ・ヨンジュン3D in 東京ドーム 2009』』は日本映画です………
アメリカからジョナス・ブラザーズ3D、韓国からヨン様3Dと来たんだから、日本もAKB48を使ってAKB483Dという映画を作ったら面白いんじゃない?縦に整列したAKB48たちの立体映像が楽しめるの。クライマックスでは観客席を3D映像で映し出して、彼女達が普段のライブで味わっているAKB48のヲタたちの圧迫感まで共感できるというのはどうでしょう?
そして今度はイ・ビョンホンのイベントで騒動勃発!TBSはもちろんこれも3D化するんだよね?
仏陀再誕 [DVD](東京ドームといったらこの映画)
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