破壊屋200720062005

映画の感想_2007年_短文

2007年に公開された映画の短文感想を全て掲載しています

ラブソングができるまで   ★★★

80年代に大ブレイクしたが落ちぶれてしまったポップスターが、作詞の才能溢れる女性と出会うラブストーリー。

設定の強さに比べると中盤のラブストーリーが弱い気がする。原題の「Music & Lyrics」を[男と女の関係]に例えているのは素敵なアイデア。


以下は劇中一番ウケたギャグ(わかりやすくしたので、本当のやり取りとは違います)。

”元スター”という肩書きで遊園地や同窓会をドサ回りしてお金を稼いでる主人公。そんな彼とマネージャーの会話。
「なあ、最近俺達の業界にスゲー新人が現れたよ」
「誰?」
「リッキー・マーティンとスパイスガールズ」

2007/05/14|▼この記事の直リンク先

クイーン   ★★★

ダイアナ妃が事故死した際に、エリザベス女王が王室の人間としてどう対応したのか。というドラマを勝手に映画化し評価が高い作品。日本の皇室を対象にした『太陽』にも通じる。

練りに練った脚本で人間ドラマを魅せる映画のほうが好きなので、演技で魅せる『クイーン』はそこまで面白くない。

2007/05/14|▼この記事の直リンク先

リンガー! 替え玉★選手権   ★★★★

もっと脚本を練ってくれれば、今年のベストクラスになれた作品。

2007/05/14|▼この記事の直リンク先

スパイダーマン3   ★★★★

前作までと比べると欠点の数が多くなっているが、満足度の高さは相変わらず。

第1作では主人公がスーパーヒーローになってもバイト探しする「所詮ボンクラ」っぷりが面白かった。第3作では黒い力を身につけて主人公の闇の心が増幅されても、やっぱり所詮ボンクラなのでやることがショボい。なんせ闇の心に支配されたピーター・パーカーの行動といえば[女に対して軟派になる]、[ブランドショップでセール品を漁る](←フツーだろ!)、[別れた女に新しい彼女を見せ付ける]、[女を奪った友人をボコる]というように、中盤の展開は珍作。

クライマックスの特撮は素晴らしいの一言。特撮だけじゃない、このシリーズは「スパイダーマンの視点」「敵の視点」「ニューヨーク市民の視点」を組み合わせたアクションシーンの演出が本当に上手い。


その他気になった点

2007/05/13|▼この記事の直リンク先

BRICK -ブリック-   ★★★

異色の映画としてちょっと話題になっている作品。
謎のメッセージを残して殺された女性。以前彼女と付き合っていた主人公は、彼女の死の真相を突き止めるべく暗躍する謎の組織と対峙する。そして主人公の前には謎の女が…。というタフガイとファム・ファタールが登場する典型的なハードボイルドなんだけど、どこが異色かというと、タフガイもファム・ファタールも高校生で、舞台も高校になっている。高校生ハードボイルドの映画というわけ。このアイデアは面白い。クライマックス以降の盛り上がりが欠けるのが残念。

2007/04/21|▼この記事の直リンク先

ロッキー・ザ・ファイナル   ★★★

「人生とは」「老いとは」というスタローンの持論が色んなキャラの言葉となって登場するのが、ちょっと辛い。でも「どうして初老のロッキーが現チャンピオンと戦うのか?そして本当に戦えるのか?」という点がきちんと納得の行く展開となっているのは嬉しい。
そして30年に及ぶ物語の決着となるラストシーンはやっぱりグッと来た。スタローン、ありがとな。

上映終了後に[「えー何でロッキーが勝つんじゃないのー」]と文句言っていた客たちがいた。今までの作品を観ていないのはともかくとして、この映画でスタローンが伝えたいことを全力で無視しているぞ。

2007/04/21|▼この記事の直リンク先

ツォツィ   ★★★

アフリカの不良少年が、女性を銃で撃ち車を奪う。しかしその車には赤子が…。少年は赤子を育てることに。
人間性の欠片も無い少年が、その人間性を芽生えさせる映画。少年犯罪が問題になっている我が国にでも通じるテーマだけど、アフリカのスラムを舞台にした『ツォツィ』のほうがずっと状況がハード。赤ちゃんに蟻がたかるシーンはホラー映画並に怖い。

2007/04/21|▼この記事の直リンク先

サンシャイン2057   ★★

けなしたくはない映画だけど失敗作。ホラー映画になってしまうのが残念。
アジア人が活躍しそうで活躍しない映画。[日本人、先住民系、韓国人、中国人の順に死んでいって]、結局はアメリカ人とイギリス人が活躍する。

2007/04/21|▼この記事の直リンク先

ブラッド・ダイヤモンド   ★★★

ディカプーがタフガイの悪党を好演。物語的には主人公のジャイモン・フンスーもいい。アフリカ人の魅力がある。
先進国で消費されるダイヤモンドが、アフリカの地でいかに紛争を引き起こし、難民を発生させているのかを描く映画だが、基本が冒険映画なので楽しめる。

2007/04/09|▼この記事の直リンク先

ラッキー・ガール   ★★

日本未公開。DVDで鑑賞。
リンジー・ローハン主演のアイドル映画。最高の運勢を持ち人生絶好調のヒロイン(タクシーに乗れば全部青信号、出会う男はイケメン、くじをやれば必ず当たる)が、最悪の運勢を持っている青年とキスしてしまい、二人の運勢が入れ替わってしまう。
アイドルムービーなので、運勢最悪のリンジーちゃんがひたすら困った目に遭ったり、運勢を取り戻すためにリンジーちゃんが色々な男とキスしたりシーンが見所になっている。それが「見所だ!」と思える僕みたいな人間には楽しい映画。ただしストーリーの奥深さが皆無で、例えば「最高の運勢ってのは恋の出会い」といった要素が全く無い。同じリンジーのアイドルムービーの『ミーン・ガールズ』や『フォーチュン・クッキー』と比べると大きく劣る。

DVDの未公開シーンを観ていたら、不運になったリンジーが、高級日本食レストランでカードの支払いが出来なくなってしまい、日本人にバカにされた挙句、板前さんに刺身包丁で脅されるというスゲえシーンがあった。

2007/04/09|▼この記事の直リンク先

ホリデイ   ★★★

会話で感情説明したり、キャラの独り言が多いのが難点だが、演出のセンスの良さで好感持てるラブコメ。
特別出演ネタや、ジャック・ブラックの映画ネタがあったりする。このように女性が作った女性向けの作品で、映画ネタがあるのは嬉しい。
子供を使ったロマンティックシーンや、[コテコテのハッピーエンド]が上手い。

2007/04/09|▼この記事の直リンク先

ブラックブック   ★★★★

『戦場のピアニスト』にも匹敵する作品のはずなのに、世間一般では全く話題になっていない。
映画秘宝に「嫌われ松子の100倍凄い」と書かれていたが、まさにその通り。ナチスとレジスタンスに翻弄される女の壮絶な人生を描いている。ドラマだけじゃなくて、伏線や犯人探しのサスペンスもシッカリしている。
ポール・ヴァーホーベンはナチスにやられたオランダ人なのに、ナチス狩りの異常さもちゃんと描いていて偉いなぁ。

2007/04/09|▼この記事の直リンク先

ハッピー・フィート   ★★★★

後半の展開に対する評価が賛否両論に分かれている作品。僕は圧倒的に賛成。SF映画的アプローチで面白い。SF映画を子供でも理解できるようにした感じだ。あのダンスは『未知との遭遇』の音を使ったコミュニケーションで、[辿り着いた水族館]が『2001年 宇宙の旅』のロココ調の部屋だと思う。
家族の物語が消化しきれていないのが不満。これだったらやらなくてもいいのに。

2007/04/09|▼この記事の直リンク先

相棒 -シティ・オブ・バイオレンス-   ★★

ひたすらドツキ回すボンクラ韓国映画。監督のリュ・スンワンの他の作品は、『アラハン』がワーストに入れたほど酷い出来で、その後に製作した『クライング・フィスト』が大変素晴らしかった。しかし本作は再び『アラハン』の時の志に戻っている。リュ・スンワンのファンはこっちのテイストのほうが好きらしいが、もうちょっと脚本練ってくれよ。

2007/03/29|▼この記事の直リンク先

パラダイス・ナウ   ★★★★

「自爆テロで死者多数」
というニュースが日本で大々的に流れても、ほとんどの人が「あ、そ。ふーん。理解不能。」という反応で終わると思う。『パラダイス・ナウ』は自爆テロに向かう二人の若者を描いており、自爆テロ犯の心情に触れさせる恐るべき映画。これも映画の持つ力だ。

2007/03/29|▼この記事の直リンク先

ラストキング・オブ・スコットランド   ★★★

「何でこの映画がR指定なのかなぁ?」と思いながら観ていたら…うわぁすげえ死体が。[あの拷問はケイに対する贖罪なのね。]
ウガンダとイギリス、それにスコットランドの国の関係と、それぞれの人の関係がよくわかる脚本が良い。
ウガンダから脱出できる唯一の可能性には驚いた。そうかその手があったか。

2007/03/18|▼この記事の直リンク先

蒼き狼 地果て海尽きるまで   ★★

戦争シーンで表現しているのが、戦闘じゃなくて「戦争という事象」だった。大河ドラマみたい。騎馬民族という特性を活かしていない。
50年にも及ぶ物語で、若村麻由美はちゃんと老婆メイクもしていたが、 反町隆史と菊川怜はそのまんま。これが俳優と芸能人の違いなのか?

2007/03/11|▼この記事の直リンク先

パフューム-ある人殺しの物語-   ★★★

前半は良かったのに、途中から失速。クライマックスで盛り返す。
サスペンスの組み立てが、主人公とアラン・リックマンのエスパー対決みたいに思える。

笑える演出も多い。描写の過激さはまるで板垣恵介のマンガ(『グラップラー刃牙』『メイキャッパー』)だ。クライマックスはマンガ的ハッタリ演出の連続だった。

2007/03/04|▼この記事の直リンク先

あなたになら言える秘密のこと   ★★★

『死ぬまでにした10のこと』が好きだったので観に行った。イザベル・コイシュ監督のリアリズムの中にファンタジーを作り出す画風は結構好きだが、中盤までの会話劇にビシッと芯が通っていないのが気になる。この二作を通して思ったがイザベル・コイシュ監督はミュージカル映画に憧れていると思う。

後半のポイントとなる「秘密のこと(Secret Life)」はあまりにもへヴィで、映画のジャンルが変わってしまうほどのものだった。実はこの映画は[戦争犯罪の被害者]を描いた映画でもあった。

2007/02/25|▼この記事の直リンク先

善き人のためのソナタ   ★★★★

今のところ今年一番面白い洋画。序盤から察するに、生粋の社会主義者で凄腕の尋問者の主人公が、人間性に目覚めて芸術を愛するようになる『リベリオン』みたいな展開になるかと思っていたら違った。無感情な盗聴者である主人公が、意外と人間臭い感情で行動を起こすのが面白い。

重い題材だけど、脚本や演技に工夫が効いていて結構笑える描写が多いのが嬉しい。観客もクスクス笑っていた。これでサスペンスがガッチリ決まっていたら傑作になれた。

2007/02/25|▼この記事の直リンク先

ドリーム・ガールズ   ★★★

ミュージカル映画としてよりも、黒人アーティストのショービジネスの映画として面白い。ドリーム・ガールズの辿る道がデスティニーズ・チャイルドと似ているのが興味深い。ジェニファー・ハドソンにドラマの焦点を当てているのも良い。
字幕がちょっと変だった?

2007/02/19|▼この記事の直リンク先

バブルへGO!! タイムマシンはドラム式    ★★

試写会での評判が最悪だった映画。観に行ったら意外と面白い。「君塚良一脚本作品を初めて褒めるぞ!」とまで思った。なんであんな悪評なのか不思議だった。でもその理由はすぐわかった。
後半が酷過ぎ、ふざけ過ぎ。映画が台無しになった。この映画をもし海外に輸出したら、あのラストシーンは日本人の考え方を疑われると思う。

2007/02/12|▼この記事の直リンク先

Gガール 破壊的な彼女    ★★★

こういう映画も好きだから、公開初日に観に行った。最高だった。

2007/02/12|▼この記事の直リンク先

DOA/デッド・オア・アライブ    ★★★

こういう映画が好きだから、公開初日に観に行った。最高だった。

2007/02/12|▼この記事の直リンク先

ダウト   ★★★★

3月3日公開の映画。試写会で鑑賞。公式サイトはこちら。ユージュアル・サスペクツ系の作品。

2007/02/12|▼この記事の直リンク先

世界最速のインディアン   ★★

良い作品なんですが、トラウマになった『単騎、千里を走る。』と似たような構成の映画だった………。

2007/02/03|▼この記事の直リンク先

不都合な真実   ★★★★

今まで数多くの映画を観て来たけど、エンドクレジットで「他の人にもこの映画を薦めてください」とお願いされる映画は初めてだ。政治家&運動家の映画を作るとこうなるのか。

2007/02/03|▼この記事の直リンク先

どろろ   ★★

CGもショボいが、着ぐるみと戦うのに驚いた。芋虫妖怪が寝袋の中に入っている人間にしか見えないシーンがある。妖怪の舌で捕らえられるシーンが、布を体に巻いて転げまわっているように見える。
脚本がクライマックスに向けて収束しないので盛り上がらない。だから[妖怪のボスに国が乗っ取られる]という一大事が起きるのに、これっぽっちも一大事に思えない
それと実の父親との決着は、普通に勝つよりも
百鬼丸が自分の体をわざと貫かせて、敵の剣を固定させて
「その体はどうした?」
「父さんが作ってくれた」

とやったほうがスマートのような気がする。原作の『どろろ』からかけ離れちゃうかな?

どろろの設定の再解釈は意外とすんなり納得できた。

2007/02/03|▼この記事の直リンク先

それでもボクはやってない   ★★★★★

ここ数年の日本映画の中でも頂点に位置する作品。映画は世相を斬り、社会を撃ち抜ける事を再認識。自分の住んでいる国のシステムがこうなっているのかと驚かされる。
娯楽映画としても優れている。主人公の置かれた状況の緊迫感は『ユナイテッド93』のソレに似ている。
今までの周防作品との違いが指摘されているが、周防正行は『ファンシイダンス』は寺の世界、『シコふんじゃった。』は相撲の世界、『Shall we ダンス?』は社交ダンスの世界、という風に今までその世界に無縁だった主人公(=観客)が突如その世界に入り込むというパターンを繰り返してきた。『それでもボクはやってない』も同じパターンである。題材が題材なだけに笑えないのであって、周防正行の王道パターンに乗っ取っている。モノローグの使い方も相変わらず秀逸。
周防正行が娯楽映画の天才だからこそ、エンターテイナーとしての技術をふんだんに利用して社会に切り込むことができる。単なる社会派の映画ではない。

2007/02/03|▼この記事の直リンク先

モンスターハウス   ★★★

主人公たちの造形が良い。アニメキャラなのに媚びていないデザインだ。
モンスターハウスの中に入る後半よりも、モンスターハウスを前にしてグダグダ騒いでいる前半のほうが面白い。

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ラッキーナンバー7   ★★

一年に一本くらいの割合で、「トリック映画なのにトリックがバレバレ」というものを観てしまう。今年はコレだ。

2007/02/03|▼この記事の直リンク先

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