白人映画の中の黒人たち

こんど発売される映画評論同人誌『Bootleg Vol.1 DYNAMITE』のテーマは黒人なんだけど、俺が書いたのはブラックムービーではなくて白人主体のハリウッド大作映画についてです。白人映画の中に出てくる黒人を取り上げた。

Bootleg Vol.1 DYNAMITE

『ダイ・ハード3』で、「俺はクロンボが大っ嫌い」と書かれた看板を身につけてハーレムに立つジョン・マクレーン刑事。白人映画の中の黒人といえば『ダイ・ハード』シリーズが有名。

ハリウッド映画というのはほとんど白人主体の文化で、スーパーマンもスパイダーマンもバットマンもスーパーヒーローはみんな白人。黒人のスーパーヒーローが主役なのは『スポーン』くらいだけど、『スポーン』は興行的にも作品的にも大失敗した(あとは『ブレイド』か)。CGを駆使した超大作で黒人が主役を張れるのはウィル・スミスかデンゼル・ワシントンくらい。また娯楽映画の登場人物はマイノリティーから優先的に死んでいくので、『ジュラシック・パーク』の1と3のように白人だけが生き残る映画も珍しくない(2の黒人は子どもなので死なない)。そんな状況だと劇中の黒人の役割が限られたものになっていく。たとえばホラー映画だと黒人の役割は以下のようになる。

  1. 学生たち(主に白人)がバカ騒ぎしている
  2. 黒人のキャラクターが学生たちに警告する(黒人の職業は掃除人や修理工)
  3. 学生たちは意に返さないが、ヒロインだけはきちんと黒人の警告を受け止める
  4. 学生たちが次々に襲われて殺される 黒人の言うことは正しかった!

と、こんな感じ。学生のみなさんはどっか旅行する時に黒人に会ったら、ちゃんと話を聞いておきましょう。じゃないと死ぬわよ!

他にもハリウッド映画の定番黒人キャラはいくつかパターンがある。『Bootleg Vol.1 DYNAMITE』では、そんな白人映画に出てくる定番黒人キャラについて書いたんだけど、他にも書いたことがある。白人映画における黒人の特徴は定番キャラだけではない。中年女性の生き方を描いた『エデンより彼方に』という映画ではこんなシーンがある。

Bootleg Vol.1 DYNAMITE

ヒロインのジュリアン・ムーアは「父を亡くした黒人を慰めるために黒人の体に触れる」ところを記者に目撃される。たったそれだけのことで美談の記事になるほど偏見が厳しかった。

このシーンが意味する要素は2つある。1つは当然ながら「映画の舞台が50年代のアメリカで黒人差別が激しかった」という時代背景を説明している。もう1つは「そんな時代にも関わらずヒロインは黒人に対して優しい人間である」ということを説明している。このようにハリウッド映画では白人の主人公がマイノリティと仲が良いシーンを入れて、白人の主人公がリベラルな人間であることを強調する。

『エデンより彼方に』は50年代を舞台にした映画だけど、このようなシーンは現代映画のほうに多い。キャメロン・ディアズとトニ・コレットがダブルヒロインの『イン・ハー・シューズ』に特徴的なシーンがある。以下は『イン・ハー・シューズ』の中盤のネタバレになります。

『イン・ハー・シューズ』のトニ・コレットは弁護士を演じている。トニ・コレットはオタクっぽくてイマイチな同僚の男とデートでバスケ観戦をする。ところがデート中のある出来事によって、トニ・コレットと観客は同僚がイイ男だと気が付くようになっている。

Bootleg Vol.1 DYNAMITE

左の白人が同僚で、真ん中の女性がトニ・コレット

トニ・コレットは同僚が黒人と仲良く会話しているを見てウットリしている。このシーンは、同僚の白人がエリート層の弁護士なのに誰とでも仲良くできる人間だということを説明しているのだ。トニ・コレットはそんな同僚に惚れ、観客は同僚に好感を抱くようになっている。このように白人映画の中では黒人を始めとするマイノリティたちは特殊な扱われ方をする。


『Bootleg Vol.1 DYNAMITE』では、40本近くのハリウッド映画を取り挙げ、定番黒人キャラや、特殊な扱われ方をする黒人、ちょっとわかりにくい黒人差別ネタなどについて書きました。記事のタイトルは、人種差別撤廃を願った名曲「エボニー・アンド・アイボリー」をパロって「エボニー・イン・アイボリー」にしました。興味のある方は是非5/23の蒲田の文学フリマへいらしてください!


Bootleg

『Bootleg Vol.1 DYNAMITE』の豪華執筆陣の告知ページ


ところで「エボニー・イン・アイボリー」というタイトルだけど、同じ言葉を考えた人が他にもいるかも!と思って検索したところ、白人と黒人の乱交エロDVDが出てきたよ。

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