Archive for the ‘映画ネタ’ Category

今年の映画はまぎらわしいタイトルが多い

土曜日, 9月 24th, 2011

今年の映画ってまぎらわしいタイトルが多いよね…。チケット買うときに別のタイトルを口走ってしまいそう。

『SUPER8』と『SUPER!』

SUPER8とSUPER!は両方とも映画オタク心をくすぐられる作品なんだけど、ここ数年は映画オタク心をくすぐられる傑作が連発されたので、それらと比べると見劣りする。

super

super

『ゴーストライター』と『ゴーストライダー(2007)』

2011年の洋画の中でもトップクラスの『ゴーストライター』だけど、どうしても2007年のニコケイの駄作『ゴーストライダー』を連想してしまう。

似てる

『スリーデイズ』と『4デイズ』と『5デイズ』

スリーデイズと4デイズは公開日まで一緒だ。

super

↑こんな宣伝ページが作られているので、確信犯的な部分もあるのだろう。

『エイリアンVSニンジャ』と『カウボーイ&エイリアン』

いっそのことAKB48が旧アイドルのゆうこりんと戦う『エイリアンVSAKB48』ってのはどうだろう?もしくは伊藤英明と市川海老蔵がタッグでエイリアンと戦う『エイリアンVS関東連合』とか。

似てる

super

『フェア・ゲーム』と『フェア・ゲーム(1995)』

「スーパーモデル」という言葉がはやった90年代に、スーパーモデルのシンディ・クロフォードの珍作アクション映画『フェア・ゲーム』が作られた。相手役のウィリアム・ボールドウィンもまぎらわしい俳優の代表格だ(兄弟4人が俳優)。

調べてみると『Fair Game』って映画はたくさんあるのね。ボジョレー・ヌーボーみたいに「今年のFair Gameは味わいが深い、2005年を越える出来の良さ」みたいな評論できるんじゃない?

似てる

『はやぶさ/HAYABUSA』と『はやぶさ 遥かなる帰還』と『おかえり、はやぶさ』

タイトルが似ているとはちょっと違うけど、この競合はウザいなぁ。1994年に「忠臣蔵対決!」と騒がれた『忠臣蔵外伝 四谷怪談』と『忠臣蔵・四十七人の刺客』があったけど、それ以上の状況になっているぞ。これが成功したら今度はテレビドラマ『はやぶさ』やるんだろうな。映画を観れば感動できるかもしれないけれど、映画を観る前から映画のせいではやぶさの感動が薄れている。

似てる

似てる

似てる

ちなみに以前も破壊屋で似たような記事書いてます。

トランスフォーマーVS原発

日曜日, 9月 4th, 2011

トランスフォーマー

『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』には原発ネタが二つ出てくる。両方とも序盤の状況説明のシーンだ。

一つはチェルノブイリで、オートボット(正義のトランスフォーマー)たちとアメリカ軍はチェルノブイリに行く。人が住めなくなった死の街の描き方はだいぶ大げさだが、彼らを案内するウクライナの役人が言うセリフ「私はここで家族を亡くした、私も被ばくしている、もう手遅れなのでマスクはしない」というセリフが重い。チェルノブイリ内で登場人物たちは事故とロボット生命体の間に隠されていた真実を知るという展開になっている。アメリカ人は「歴史的モニュメントに隠された秘密」「あの事件の真相は!」といった陰謀めいた話が大好きだけれど、チェルノブイリ原発を使うのは珍しいね。

だけどもう一つの原発の描き方は衝撃的だ。オートボットが原発をガンガン攻撃しているのだ。オートボットが攻撃する理由は「そこが違法な原子力施設(Illegal Nuclear Site)」だからだ。何だって!正義のロボットたちは違法な原子力施設を攻撃するのか!日本なんてヤバいじゃん、どこが狙われるんだ?2007年まで臨界事故を隠した志賀か?「検査のための調整運転中」と嘘つきながらちゃっかり稼働させていた泊や大飯か?立地が激ヤバの浜岡か?被ばくしやすい未成年を働かせていた高浜か?放射性物質を外部に放出しながら稼働する六ヶ所村か?住民投票を潰した柏崎か?隠ぺいやデータの改ざんや説明会のヤラセなんてどこの原発でもやってるぞ。こりゃあオートボットと日本の全面戦争だぜ!って冗談を書いたのは最後の太文字の部分だけであり、実際はオートボットが日本の原発を攻めることはない。

『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』でオートボットが攻撃している原発は「中東」と書いてあるけど、これがイランの原発なのは明らかだ。イランの原子力開発については国連が4回の経済制裁を行い、欧米は追加制裁も行っている。厳しい制裁を受けてまでイランや北朝鮮が原子力開発を続けるのは、以下の画像のような理由である。

原子力ポスターコンクール

ってのはもちろん嘘で、核兵器開発につなげるためだ。だからこそ国連や欧米社会が彼らの原子力開発を許さない。IAEAも全会一致でイランに対する非難決議をしている。以下はWikipediaのIAEAを説明する最初の一文だ

国際原子力機関(こくさいげんしりょくきかん、英: International Atomic Energy Agency:略称:IAEA)は原子力の平和利用を促進し、軍事転用されないための保障措置の実施をする国際機関である。

つまり『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』で正義のトランスフォーマーたちが攻撃しているのは軍事転用が目的の原発だ。日本が攻められることはない…はずだった。しかし石破茂が核抑止力としての原発開発を支持し、読売新聞も日本の原子力技術を「潜在的な核抑止力」としているのを読んでいると、日本もオートボットに攻められるんじゃないの?と思ってしまう。俺は子供のころデストロン(オートボットの敵、ディセプティコンのこと)が好きだったので、それでもいいけどね!

ところでオートボットとディセプティコンが戦っているそもそもの理由ってエネルギー問題なんだよね。

映画『トランスフォーマー』は誰と誰が戦ってるの?

月曜日, 7月 25th, 2011

戦闘シーンがゴチャゴチャしすぎて何だかよくわからん!というのが定番な評判の『トランスフォーマー』シリーズだけど、『トランスフォーマー』の第一作の戦闘シーンを順番に解説してみるよ。もちろんネタバレ。

アメリカ軍VSブラックアウト

トランスフォーマー

ブラックアウト(ヘリ)が基地一個壊滅させて圧勝。ブラックアウト強すぎ、範馬勇次郎かよ。

ウィリアム隊VSスコルポノック

トランスフォーマー

ウィリアム隊とはアメリカ人生き残り部隊のこと。スコルポノック(サソリ)はブラックアウトが内臓していた。ウィリアム隊が地上からの航空機要請で倒す辺りがアメリカ軍全面協力の映画って感じですね。

バンブルビーVSバリケード

トランスフォーマー

ただのカーチェイスじゃん。とは言ってはいけない。このあとトランスフォームして工事現場でバトルを繰り広げる。

ラチェット登場

トランスフォーマー

ラチェットはレスキュー車に変形する。ダイナー近くに墜落してデブが歓喜するシーンだ。

ジャズ登場

トランスフォーマー

スタジアムに墜落するのがジャズ。一番派手に墜落するのに一番地味なキャラである。ジャズはこのあとカーショップでトランスフォームする。

アイアンハイド登場

トランスフォーマー

プールから出たアイアンハイドはピックアップトラックに変形する。少女と異形のモノが出会うという定番を効果的に使っている名シーンだが、少女の目線とアイアンハイドの動きがまったく合ってないミスシーンでもある。

オプティマス・プライム登場

トランスフォーマー

オプティマス・プライムは通りすがりのトラックをスキャンする。オプティマス・プライムがファイヤーパターン(車体に火の模様を入れること)をしていることは、アメリカ人にとって大変印象が悪い。ちなみにアメリカ映画では「ファイヤーパターンの車の持ち主=バカ」として描くのが常識。

メガトロン登場

トランスフォーマー

俺が王者だ、ガッハッハ!って感じで登場するメガトロンだが、次の登場シーンでは氷漬けになっている。そういえば原作となったアニメ版でもちょっと間が抜けていましたね。

スタースクリーム登場

トランスフォーマー

この渋いオッサンがスタースクリームではなくて、戦闘機そのものがスタースクリームだ。

デバステーター登場

トランスフォーマー

戦車がデバステーターだ。

ボーン・クラッシャー登場

トランスフォーマー

字幕に出ているのはトランスフォーマー語だろう、たぶん。どうでもいいけど普段のボーン・クラッシャーは工事現場でちゃんと働いているのだろうか?スパイダーマンがバイトしているみたいな感じで。

オプティマス・プライムVSボーン・クラッシャー

トランスフォーマー

高速道路で爆走しながらトランスフォームして激突!「俺はこれを実写で観るのが夢だったんだよ…」と胸が熱くなる名シーンだが自分の夢が1800円で実現する程度のモノだと気がついてしまってちょっと悲しい。このバトルにはバリケード(パトカー)もちょこっと登場しているんだけど、このあとなぜか出てこなくなる。

バンブルビー&アイアンハイドVSスタースクリーム

トランスフォーマー

そして市街戦が始まる。バンブルビー(黄色い車)とアイアンハイド(ピックアップトラック)がトラックを使ってスタースクリームのミサイルを受けようとするのだが…。

アイアンハイドVSデバステーター

トランスフォーマー

アイアンハイドが空中回転しながらミサイルを避ける名シーン。

アイアンハイド&ジャズ&ラチェット&ウィリアム隊VSデバステーター

トランスフォーマー

デバステーターは集中放火でボコボコにされて一時戦闘不能になる。写真はデバステーターに飛びかかるジャズだが、ジャズが活躍するのはここが最初で最後。

ジャズVSメガトロン

トランスフォーマー

ジャズは一瞬にして無残に死ぬが、ジャズにそんなに感情移入できるわけでもないのであんまし悲しくない。

デバステーター復活、ブラックアウト到着

トランスフォーマー

トランスフォーマー

前方でデバステーター(戦車)が復活し、後方にブラックアウト(ヘリ)が到着する。前後を挟まれて絶望の状況となる主人公たちだが、ウィリアム隊は主人公にビルの屋上までキューブを届けるように指示を出す。アイアンハイドとラチェットが主人公を守る。

アイアンハイド&ラチェット&ウィリアム隊VSデバステーター&ブラックアウト

トランスフォーマー

ビルまで疾走する少年の周りで大激戦が起きる。猛攻撃の前にアイアンハイドとラチェットは防戦一方となる。主人公の目の前でブラックアウトがヘリに変形するカットがカッコいい。

オプティマス・プライム登場

トランスフォーマー

ついにオプティマス・プライムが登場。オプティマス・プライムとメガトロンの一騎打ちは延々と続く。

スタースクリーム着陸

トランスフォーマー

主人公はブラックアウト(ヘリ)のローター攻撃を何とかかわすが、そこにスタースクリームが着陸する。スタースクリームはアイアンハイドとラチェットをボコボコにした後に戦闘機に変形して離脱する。

バンブルビーVSデバステーター

トランスフォーマー

バンブルビーはヒロインの運転する牽引車に吊られながら反撃。デバステーターを倒す。

ウィリアム隊&アメリカ空軍VSブラックアウト

トランスフォーマー

ブラックアウトが倒されるアメリカ軍大活躍のシーンで、バイクに乗ったウィリアムがスライディング撃ちを披露する迷シーンだ。

アメリカ空軍VSスタースクリーム

トランスフォーマー

戦闘機に紛れたスタースクリームが暴れだす空中戦。戦闘機たちは壊滅する。このあと主人公とメガトロンの対決となる。

スタースクリーム離脱

トランスフォーマー

すべての戦いが終わったあとのオマケシーン。スタースクリームが月に帰る。これが続編の伏線となる。

同じマイケル・ベイ監督の『ザ・ロック(三宅島じゃなくてアルカトラズ島のやつ)』も1996年の登場当初はそのドンパチの過剰さが話題になったけど、『トランスフォーマー』に比べればたいしたことない。『トランスフォーマー』シリーズの戦闘シーンは観客の情報許容量を遙かに超えるものだ。映画の過剰なアクション演出はどこまで進化するのだろうか。マイケル・ベイの大味っぷりはまるで変わってないけどね。

ガンヘッド [DVD]ゆっくりしたロボットの対決ならこっちで。

発電所で地震が起きる映画『HINOKIO』のスポンサーは東京電力

日曜日, 4月 3rd, 2011

HINOKIO

HINOKIO(ヒノキオ)

東北大震災&原発爆発後の更新ということで、東京電力がスポンサーの映画『HINOKIO』を取り上げる。空想的な設定に子ども同士の純粋なラブストーリーをうまく組み合わせていて、俺は好きな映画だ。でもこういう事態になってしまった以上、ちょっと心苦しいけど『HINOKIO』をネタにする意図で紹介する。

東京電力の提供でお送りします

どういう映画なのかは東京電力のサイトに載っているプレスリリースがわかりやすい。『HINOKIO』が東京電力のコマーシャル的な映画だということがよくわかる。

劇場用映画「HINOKIO(ヒノキオ)」製作への出資、参画について

平成16年4月28日

東京電力株式会社

当社はこのたび、平成17年初夏に公開予定の劇場用映画「HINOKIO(ヒノキオ)」(松竹配給)の製作に出資、参画することにいたしました。

本作品は、明日というイメージの近未来を舞台に、母親の死をきっかけに「ひきこもり」になってしまった少年が、科学者である父から贈られた「HINOKIO」という名の遠隔制御の介護ロボットを通じて、現実の社会に適応し、家族愛や友情、初恋に目覚めていくという感動的な物語です。

当社は、本作品のテーマである「社会とのつながりや人間同士のコミュニケーションの大切さ」という普遍的なテーマに共感するとともに、作品中で描かれるIHクッキングヒーターやバリアフリー住宅、高速インターネットなど近未来の生活シーンの「電化イメージ美術設計コンサルティング」として映画製作をサポートすることにより、オール電化の魅力や情報化されたクリーンで快適な暮らしをPRできることから、出資、参画を決定した次第です。

原発の未来

「IHクッキングヒーター」「バリアフリー住宅」「高速インターネット」が「明日という近未来」だとしているが………これらの要素は『HINOKIO』が公開された2005年でもそんなに近未来的な要素じゃないと思う。そしてオール電化やクリーンで快適な暮らしとあるが、現実の近未来である2011年は原発が爆発して放射能汚染が始まった。多くの人が予想していなかった未来だ。それでは映画の内容を紹介しよう。

以下の文章にはネタバレと不謹慎な東京電力&原発ネタが多く含まれています。


HINOKIO

映画のファーストカット。映画が始まった瞬間にスポンサー企業の名前がズラズラと出てくる公共事業的感覚が日本映画の特徴だ。東京電力の名前もある。

HINOKIO

映画の次のカット。原発政策を推進していた経済産業省もこの映画に関わっている。

HINOKIO

主人公は交通事故で母親を亡くしてひきこもりとなった小学6年生のサトル。サトルはヒノキオ(檜を使ったピノキオ)というロボットで小学校生活を送ることになった。燃料は電気である。

ヒノキオのVFXは不自然さが一切無いように作られていて、日本映画としてはかなりの高レベルだ。

HINOKIO

ヒノキオのクラスには委員長的存在の優等生メガネがいた。この子はどんどんマニアックな設定が後付けされていくので面白い。だがこの子が正式ヒロインではない。

HINOKIO
HINOKIO

ヒノキオは同じクラスのワルガキたちに目をつけられていじめられる。野球帽を被っているのがワルガキのリーダーのジュンだ。だがヒノキオはジュンたちと仲良くなりたいと思っている。

HINOKIO
HINOKIO
HINOKIO

ワルガキたちが廃工場でテレビを見ていると、ヒノキオがやってくる。テレビのニュースでは与野党の混戦と大震災予知の話をしている。映画館で観たときは「ナンじゃこりゃ」としか思わなかったが、東電映画として観るとものすごく緊張感があるシーンだ。この震災予知がクライマックスの伏線となっている。

HINOKIO

ワルガキたちのパシリとなってアビるヒノキオ。っつーか窃盗じゃん。
(アビる:ダンボール箱ごと商品を盗むこと 用例「災害で壊滅した地域ではアビる人が出没する」)。

HINOKIO

ヒノキオは体育の授業で美少女に恋する。演じるのは堀北真希だが、この子も正式ヒロインじゃない。右側に「REC」とあることからわかるように、これは録画モードになっている。っつーか盗撮じゃん。

HINOKIO

サトル(ヒノキオ)の自宅のキッチン。東京電力がスポンサーなので、オール電化キッチンをアピールするCMみたいなシーンがある。

HINOKIO

サトルの父親である中村雅俊が引きこもりのサトルに声をかけるシーン。手すりからわかるように、この自宅はバリアフリーになっている。自宅内に段差がないため車イスがすいすい動くシーンもある。

HINOKIO

釣りを通じてヒノキオとジュンは仲良くなっていく。海から巨大魚が出てくるシーンがあるんだけど、間違いなく放射能の影響。

HINOKIO

HINOKIO

ヒノキオとジュンは不良中学生に絡まれる。多重下請け構造で安全軽視したり、被爆する作業を外国人労働者たちにやらせていた東電さんには叶わないっスよ!不良中学生と戦うヒノキオのシーンはかなり楽しい。

HINOKIO

不良中学生たちの親玉はなんとメガネ美少女だった!なぜ彼女がヒノキオを狙うのだろうか?

HINOKIO

ヒノキオとジュンは死について語り合う。ヒノキオの答えは「死ぬと煉獄に行く」というものだった。そしてヒノキオは「煉獄の塔」について語りだす。煉獄の塔とは……衝撃の結論が!

HINOKIO

煉獄の塔とはなんと東京電力の発電所の煙突だった!そりゃまさに地獄を越えた煉獄だよな。

ちなみにこの煙突の火力発電所はとっくの昔に取り壊されているので、川崎の火力発電所とのCG合成かもしれない。

HINOKIO

釣りの最中にジュンは海に落ちてしまう。ジュンは服をかわかすのだが、ヒノキオはジュンの胸をアップにする………うん?ううん?あれ?

HINOKIO

実はジュンは女の子!この映画はヒノキオとジュンのラブストーリーだったのだ。俺もまったく気がつかなかったので、映画館で観たときは本当にビックリした。ここから映画はどんどんマニアックな方向に向かう。

HINOKIO

ジュンを演じるのは今や有名女優となった多部未華子。この映画は多部未華子の長編デビュー作でもある。『HINOKIO』での多部未華子の演技は素晴らしい。

HINOKIO

ジュンの体は汚いらしい。ちょっとくらい放射能を浴びても除染すれば平気だよ!じゃなくて、ジュンは性的虐待を受けていたのだ。このことは大人の観客だけが気がつくように細心の注意を払って演出されている。

HINOKIO

メガネ美少女がヒノキオを攻撃した理由が判明する。メガネ美少女はジュンのことが百合的な意味で好きだったのだ。だから誰もいない教室でこっそりジュンの笛を吹く。ちなみに堀北真希もジュンと特別な関係があることが、後々判明する。すごい展開だ!

HINOKIO

ジュンと仲が良いヒノキオに嫉妬するメガネ美少女はヒノキオが戦闘用ロボットだという疑惑を見つける。原発作業用のロボット持っていなくて、今になって外国から借りている東電がそんなロボット持ってるわけないじゃん!(注:ヒノキオを作ったのは東電ではありません)

HINOKIO

メガネ美少女は「危ない物が学校に来ているのは問題だと思います」と告発する。いやいや原発の危なさに比べたら全然大丈夫ッスよ!映画の中では彼女は間違っているが、現実では福島原発の問題点を告発した意見のほうが正しかった。だが俺も含めた大勢の日本人がガン無視、あまりにも壮大すぎる後の祭りとなった。

HINOKIO

いろいろ辛いことがあってヒノキオ(サトル)は電車に飛び込み自殺する。いやロボットじゃん、とツッコミたいところだがヒノキオが大ダメージを受けるとサトルも死ぬというマトリックス設定なのだ。そしてサトルは危篤状態となる。天国へと向かうサトルくんのショタヌードをお楽しみください。このあとカメラはぐるんぐるん回って、後ろから前からローアングルとなります。こういう画像をアップするとアグネスに怒られそうだが被災者支援(と折鶴)に忙しいらしいので大丈夫だろう。

HINOKIO

ヒノキオを救うためには煉獄の塔に行くしかない!ジュンはそう決意して、東電の発電所に向かう。しかし発電所の煙突に登りきったとき地震が起きて……ストーリーのネタバレはここまでにしておく。

HINOKIO

オマケ1:ヒノキオを製作しているスタッフの女性を演じるのは牧瀬里穂。

HINOKIO

オマケ2:サトルの母親を演じるのは原田美枝子。熟女マニア的にはこれくらいがちょうどいい。

HINOKIO

オマケ3:煉獄の塔周辺の光景。煉獄の塔とは東京電力の発電所のことなので、原発周辺も将来こんな感じになるのであろう。画面の女性の声優は林原めぐみ。

監督の意図

『HINOKIO』のネタ的な部分ばかりを抜き出してしまったけど、映画本編はもっと良い内容だ。監督&脚本&VFXの秋山貴彦がこの映画で描きたかったのは「コミュニケーション」で、登場人物たちはヒノキオを通じて本音でコミュニケーションをとっていく。ロボットを通じたコミュニケーションというアイデアは監督が80年代から考えていたらしいが、この映画が公開されたのは2005年。当時はケータイを使った新しいコミュニケーションが社会現象になっていた時期であり、相手の顔が見えなくても人と人が深く繋がるのはSFじゃなくて日常だった。時代が進んで『HINOKIO』のアイデアから新鮮さが失われてしまった。それでも俺はこの映画を心に傷を負った子供同士のファンタジーラブストーリーとして高く評価している。

東京電力がスポンサーになったことは、この映画にとって不幸だったと思う。監督は昭和的な世界観とSFを融合させたかったらしく、細かい小道具や演出はアナログ要素をうまく使っている。ところが東電の意図が働いているであろう最新の電化製品ネタが世界観とマッチしていない。

HINOKIOの本当の不幸

ちなみに『HINOKIO』は記録的な不入り映画でもあった。なんせ2005年の夏といえば『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』と『宇宙戦争』が公開されていた。だから『HINOKIO』はSFファンから無視された。運の悪いことにポケモンの新作とも公開時期が被っていたので子供の観客も来なかった。トドメを刺すように『バットマン・ビギンズ』も公開されていた。

『HINOKIO』はヒットしなかったし、俺みたいな一部の人間が支持しただけで世間からの評価も低い。原発が爆発し東電の管理体制や原発政策の問題点が次々に明らかになっている現状では、『HINOKIO』には「東電映画」という見方も出来るようになってしまった。とりあえず『HINOKIO』がテレビで流れることは二度と無いだろう。つくづく不幸な映画である。

ラストシーン

本当のネタバレになってしまうが、この映画のクライマックスでは危篤になったサトルは煉獄に向かう。そこには部屋があって死んだ母親と再会する。この展開は同じピノキオを題材にした某映画と同じだけど、『HINOKIO』が面白いのはジュンの存在だ。煉獄でサトルが母親と再会するためには、ジュンが煉獄の塔で笛を吹く必要がある。ジュンが煉獄の塔(煙突)を登るのは試練であり、塔から落ちるのは死(生まれ変わり)を意味する。母に会いたいサトルと、サトルを助けたいジュンの強い想いが現実となり、それぞれが成長していくクライマックスなのだ。

とあるジャーナリストの『HINOKIO』評論で「ジュンが男装するのは父親と同一化しているから」ってあったけど、全然違うよ!ジュンがボーイッシュなのは性的虐待を受けて女性としての自分が嫌いになったからだよ。だから映画のラストシーンでスカートを穿いたジュンが出てくるのは、性的虐待を乗り越えたことを意味するんだよ。

飛露喜 特別純米 無濾過生原酒 1800ml 2011年2月製造分 要冷蔵商品日本酒は苦手なんだけど、支援するつもりで福島のお酒飲んでみるか。

このホテルが半額の秘密はお客様を殺…

月曜日, 2月 28th, 2011

これは最近よく見かけるクーポンサイトのポンパレの広告だ。

クーポンビジネス
クーポンビジネス

「実は半額だなんて、言えない…」って書いてあるけど実際のところは半額だと言いまくっており、本当に言えないのは「二重表示価格だなんて言えない…」とか「宣伝になるからってクーポンサイトに騙されたなんて言えない…」という店側の本音だろう。

それはさておきホテルを舞台にしたホラー映画はいっぱいあるので、今回はそんなホラー映画の設定をポンパレ風に紹介します。ネタバレは無いけど「俺は映画を観るときは設定も知りたくないんだよ!」という人は適宜読み飛ばしてください。

ホステル

ホステル

ホステル

エロと残虐がたっぷり!という豪勢なホラー映画である。下の画像は部屋に入ったら美女と相部屋でしかも着替え中だった!というおいしい状況だけど、このシーンの本当の意味は…。

ホステル2

ホステル2

ホステル2

全作では男たちが狙われていたけど、続篇では美女たち(一人違うけど)!というわけで下の画像はオークションで高い値段で売れる惨殺用美女のベスさん。ペニーオークションとは違って詐欺がないので安心です。

1408号室

1408号室

1408号室

下の画像は無理矢理泊まろうとする主人公に警告するホテル支配人のサミュエル・L・ジャクソン。『1408号室』はスティーブン・キング原作で悪意のあるホテルという設定は『シャイニング』と同じだけど、ホテルの一室が舞台なので『シャイニング』よりも限定された空間だ。

アイデンティティ

アイデンティティ

アイデンティティ

豪雨で閉ざされたモーテルに集まった男女が一人ずつ死んでいく……という古臭い設定だが、驚愕の展開を見せる。ハリウッド映画のトリックがどんどん複雑なっている時に作られた映画で「実現不可能なトリックを実現させた」として話題になった。俺はかなり好きな映画だ。

輪廻

輪廻

輪廻

『アイデンティティ』とはうってかわってトリックがすごくシンプルなんだけど、俺は思いっきり騙されたので悔しい思いをした。ヒロインを演じるのは優香。

サイコ

サイコ

サイコ

言わずとしれた超名作。シャワーのシーンは今回取り上げたホラー映画たちの原点なんだけど、今となっては古臭い演出である。だけどこの映画の脚本やカメラワークは今の時代でも十分に通用する。モーテルの管理人を演じたノーマン・ベイツの迫真の演技も凄まじいが、初登場シーンはこんな笑顔である。

モーテル

モーテル

モーテル

自分たちが泊まっている部屋で殺人ショーが起きていた!日本でもラブホテルにカメラを仕掛けて盗撮した映像(という設定)のアダルトビデオがよくありますね。

シャイニング

シャイニング

シャイニング

『サイコ』と同じくあらゆるホラー映画の原点になっている傑作だけど、スタンリー・キューブリック監督の数々の名演出よりも被害者となる奥さんの顔の方が怖いというのは禁句。

エクスクロス 魔境伝説

サイコ

サイコ

松下奈緒と鈴木亜美のダブルヒロイン映画だが大コケした。
公式サイトのTOPに「上映中に爆笑しながらツッコミいれてください」と書いて自らネタに走った。映画本編も開き直ってギャグに走っていて好感持てる珍作である。

サイコ
個人的に最大のツッコミどころは、さびれた村の老人たちが作った温泉宿がやたら立派だということだ。普通に儲かるよ!

サイコ
「ありえなーい!」と叫ぶ松下奈緒。『ゲゲゲの女房』のおかげで一流女優の仲間入りした彼女だが、もう二度とこんなゲゲゲ感が出ている表情演技はしてくれないだろう。

トワイライトシンドローム デッドクルーズ

トワイライトシンドローム デッドクルーズ

トワイライトシンドローム デッドクルーズ

ゲームの内容が現実とシンクロするという夢のような映画だが、ギャルゲーでもエロゲーでもなくて、ホラーゲームなのが実に残念である。ヒロインは関めぐみ。

最近また『フローズン』『リミット』のように状況を極端に限定したホラー映画が流行ってきているので、誰かカプセルホテルを舞台にしたホラー映画を作りませんか?カプセルホテルは日本のシンボルになりつつあるんだし、海外でウケるかも。


お得感を追い求めるのもいいけど、お金をきちんと払ってちゃんとしたサービスも受けたいよね。というわけで最後の画像は映画『ホステル』より、ホステル側のサービスがあまりにも素晴らしすぎて有り金を使い果たしてしまうことを警告してくれる三池監督です。

ホステル

中で何をやっているかは映画を観てのお楽しみ……ギャー!。