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売れないグループを描いた映画『バックダンサーズ!』

月曜日, 2月 27th, 2012

アイドル全盛の時代なのでアイドルを主役にした映画も多いんだけど、どれも超マイナーな作品ばっかり。だれ映集計作業中に聞いたこともない映画のタイトルがたくさんあったんだけど、ググるとたいていはアイドル映画だった。でもアイドルを主役にした映画は多いのに、アイドルそのものを描いた映画はほとんどない。ロックバンドの苦悩を描いた映画だとすごく一杯あるのに。

アイドルの苦悩を描いた映画だとAKB48のドキュメンタリーと、元アイドルのその後を描いた『パーフェクト・ブルー』くらいしか思いつかない。でも2006年の映画『バックダンサーズ!』はアイドルじゃないけど解散の危機にあるグループの舞台裏の描き方がけっこう面白くて好きな映画だ。『バックダンサーズ!』のモデルとなっているのは間違いなくMAX。

バックダンサーズ!

高校時代からの親友同士だった(左から)hiroと平山あやはクラブでダンスを踊って補導されて退学となってしまう。2人は美人な女子高生ジュリ(右端)を加えて3人でダンスをする。ジュリを演じるのは長谷部優、調べてみたらエイベックスのdreamというグループのセンターだった。

バックダンサーズ!

2年後にジュリはスカウトされてアイドルとしてデビューするがまったく売れなかった。しかしジュリは浜崎あゆみみたいなアーティスト路線にイメチェンしてブレイクする。

これは2006年の映画だけど今だったら逆だよな、「浜崎あゆみや宇多田ヒカルみたいな歌手路線でデビューしたけど、失敗したので握手会アイドルでブレイクする」とか。

バックダンサーズ!

そしてレコード会社の意向でジュリにダンサーをつけることになった。hiroと、平山あやと、
元キャバ嬢のソニンと、オーディションに補欠合格したソロアイドルデビュー志望のサエコの4人だ。そしてジュリ with バックダンサーズというグループを結成する。
モデルは明らかに安室奈美恵 with SUPER MONKEY’S。

バックダンサーズ!

だけどジュリはIT社長と熱愛して引退騒ぎを起こす。ジュリに振り回されるレコード会社とバックダンサーズ。現実のhiroも恋愛騒動のあげくSPEEDを解散させているので、ちょっときわどい展開。どうでもいいがこのシーンのジュリはガンズのTシャツを着ている。

バックダンサーズ!

ジュリはライブの最中に勝手に引退宣言する。現実ではこの2年後に
リア・ディゾンがライブの最中に妊娠4か月を宣言する。

この後のレコード会社幹部が言うセリフ「引退しても必ず戻ってくる!男に入れあげて引退して本当に戻って来なかったのは山口百恵だけなんだよ!」が面白い。

またレコード会社幹部のやりとりで「ジュリのベストアルバムを出しましょう!」「2枚しかアルバムないのにベスト出せるか!」ってのがあるんだけど、現実でのhiroはこの映画が公開された年にアルバム2枚の状態でベストを出している。

バックダンサーズ!

ジュリが引退して宙に浮いたバックダンサーズ。彼女たちはサマンサ・タバサのパーティに客として呼ばれたと思ってベロンベロンに酔っぱらう。だけど実はダンスの仕事で呼ばれたのであった。酔っぱらった彼女たちは「UFO」や「変なおじさん」を踊ってスキャンダルになる。

バックダンサーズ!

同じレコード会社に70年代ロックバンドのスティール・クレイジー(
スティル・クレイジーのモジリになっている
)がいて、バックダンサーズは彼らのドサ周りツアーの前座までに落ちぶれる。写真からはわからないだろうけど、スティール・クレイジーのメンバーは陣内孝則(ボーカル)につのだ☆ひろ(ドラマー)。

バックダンサーズ!

楽屋でのスティール・クレイジー。彼らのおっさん臭さを演出するために陣内が頭を叩いているが、「頭を叩く=おっさん」という演出を思いつくこと自体がすでにおっさんだ。若い人にはわからないんじゃない?(頭を叩いて血行を良くしてハゲを治すという民間療法)

バックダンサーズ!

ドサ周りの奮闘虚しくバックダンサーズは解散させられる。原因はスーパータイガース(スーパーモンキーズのもじり)というダンスユニットが売れっ子になったからだ。

バックダンサーズの経歴がソロデビューに傷つくと考えているサエコは、一人だけ25歳と年上のソニンに対して「一人でメンバーの平均年齢上げてんじゃねぇババア!」と罵ってしまう。

バックダンサーズ!

バックダンサーズ解散後、ソニンはキャバ嬢に戻る。実は子持ちのソニンは実家に預けている子どもに仕送りする必要があるのだ。どうでもいいが左の男は酔っ払いの目の演技が良い。またhiroは解散の原因となったスーパータイガースに引き抜かれる。

バックダンサーズ!

ソロデビューに憧れるサエコは田中要次からグラビアの仕事を引き受けるが、ヌードグラビアだと知って逃げ出してしまう。しかしこのエマニエル夫人風の椅子も古い演出だなー。エイベックスの最先端映画なのに、やたら70年代をリスペクトしているのがこの映画の特徴。この映画に出てくる若者たちは70年代マニアという設定になっている。

現実のサエコはダルビッシュ有とダルビッシュ翔とダルビッシュ紗栄子というダルビッシュグループからのソロデビューに成功している。

バックダンサーズ!

まあ色々あってバックダンサーズは復活、サマンサ・タバサをスポンサーにして、大型ステージを設営して、チケットを売り切れさせる。が、実はゲリラライブだった!というすごいクライマックスが待っている。どういうゲリラライブだよ。ちなみにG-SHOCKはこの映画のスポンサー。

売れないグループの奮闘記という点ではすごく面白いんだけど、肝心の「ダンスに賭ける想い」「父と娘の物語」「恋愛モノ」がイマイチ。エイベックスらしさ全開のダンスシーンが延々と続く中盤のダンスバトルとクライマックスはかなり興味が削がれる。キスをすると雪が降りだす恋愛シーンは出来の悪い韓流ドラマを見ているみたい。でもバックダンサーズに音楽的影響を与えるスティール・クレイジーという存在の使い方がうまい。

過去のロックバンド:スティール・クレイジーがツアーに回るという展開はクドカンの『少年メリケンサック(2009)』に似ている。『バックダンサーズ!』の脚本家の衛藤凛は女クドカンとも呼ばれている理由にちょっと納得。

クライマックスはみんなで力を合わせてイベントを成功させる!っていう展開なんだけど、スポンサーが全面に出ている若者向けの日本映画はこんな感じの展開が多いような気がする。俺はこういう展開を「文化祭オチ」って呼んでいる。

パーフェクトブルー【初回限定版】 [Blu-ray]『ブラックスワン』の元ネタ。

AUDIO GALAXY-RAM RIDER vs STARS!!!-『バックダンサーズ!』のサントラはRAM RIDERが関わっている。

大人たばこ養成講座の元ネタ映画

土曜日, 2月 11th, 2012

大人たばこ養成講座

109シネマズ&東急系の映画館で流れる大人たばこ養成講座のCM。CMが流れ始めた当時は観客もウケていたけど、もう何年も続いているので笑う人もいなくなりました。でも子ども向け映画を観に行くと笑う子がいたりして新鮮な気分になる。109シネマズ&東急系で映画を観る俺にとっては何百回も見せられてうんざりだけど。

このCMは映画のパロディになっているので元ネタ解説………って解説する必要がないくらいわかりやすいものばっかりだけど。

スターウォーズ

大人たばこ養成講座

これが一番わからない。なぜダースベーダー?君臨しているからか?

レゴ スターウォーズ/LEGO STAR WARS ダースベイダー 目覚まし時計

男はつらいよ

大人たばこ養成講座

「トラ」ってことで寅さんが登場。

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ジュラシック・パーク

大人たばこ養成講座

踏みにじるということでT-REXが登場。

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エクソシスト

大人たばこ養成講座

アクマってことで首が180度回る人が登場。『エクソシスト』のおかげで「首が180度回る=悪魔」ってことになった。漫画『アイシールド21』でも悪魔に例えられるヒル魔の首が回るし。

エクソシスト ディレクターズカット版 & オリジナル劇場版(2枚組) [Blu-ray]

カンフー映画

大人たばこ養成講座

ケータイや雑音で他の客とトラブルになるのならわかるけど、ヒジでトラブルになるの自分の映画人生で一度もないなー。

美女と野獣

大人たばこ養成講座

映画館で手をつなぐなんて最初にやるときが最後だと思う。めんどい。

美女と野獣 ダイヤモンド・コレクション (期間限定) [Blu-ray]

僕と妻の1778の物語の真のオチ

日曜日, 12月 11th, 2011

ツヨポンと竹内結子の『僕と妻の1778の物語』をDVDで観た。小説家の眉村卓(ツヨポン)が難病の妻(竹内結子)のために小説を書き続けた実話の映画化だ。日本のメジャー映画にありがちな難病ラブストーリーと日本のマイナー映画にありがちなファンタジー系ラブストーリーを融合させたような作風だけど、あんまり面白くない。2時間20分という長尺のせいで演出が間延びしきっているのが原因。ただ小説の話数が1778話になると竹内結子が死ぬのがわかっているので、小説の話数が増えていくのが落ちていく砂時計みたいな妙な緊張感があった。


今回取り上げたいのは劇中の良いシーン。ツヨポン演じる主人公のSF小説家は谷原章介演じる恋愛小説家と友人だ。といっても谷原章介は売れっ子なのでツヨポンに対して見下した態度を取るイヤな奴だ。恋愛映画でこういうイヤな奴は途中から良い奴になるので安心だが。

僕と妻の1778の物語

谷原章介演じる売れっ子恋愛小説家

で、谷原章介は『噛みつきたいほど愛している』という大ヒット恋愛作を書いているという設定だ。この『噛みつきたいほど愛している』は劇中でシリーズ化されている。谷原章介の作品が並んでいる本棚が写るシーンはツヨポンと谷原章介の小説家の生き方が対比になっていて上手いシーンだ。

僕と妻の1778の物語

ブックオフの辻人成コーナーではない。

僕と妻の1778の物語

シリーズ第三弾まで出ている。

ツヨポンは編集者や谷原章介に恋愛小説を書くように言われても、それを拒否してSF小説を書き続ける。ツヨポンと竹内結子にとってはシリーズ連発する売れっ子恋愛小説家になるよりもSF小説家であり続けることのほうが重要なのだ。だが闘病生活を続ける妻の治療費はかさんでいき………以下ネタバレ

妻のために恋愛モノに手を出すツヨポン、しかし妻は自分のためにSFをやめるツヨポンに対して怒りだす!

本棚で人生の違いを表現するのが上手くて、俺のお気に入りのシーンだ。その後にツヨポンが恋愛モノに手を出す伏線にもなっているし。でも映画のエンドクレジットを見て苦笑してしまった。

僕と妻の1778の物語

眉村卓による『ボクツマ』シリーズ全4作。亀山千広の名前もある。

売れっ子恋愛小説家と同じじゃん!死後出版が妻の願いであることは劇中で描かれるので変というわけじゃないんだけど、ツヨポンが対比相手だった側になったという解釈もできる。ちなみに『僕と妻の1778の物語』はツヨポンの「僕シリーズ」の最新作でもあります。

天空のエロ・ラピュタ『バルテュス ティアの輝き』

土曜日, 11月 5th, 2011

バルテュス ティアの輝き

名作『天空の城 ラピュタ』のパクリエロアニメで『バルテュス ティアの輝き(1988)』という作品がある。単なるパクリにとどまらずスタジオジブリのスタッフが関わっていたために、宮崎駿の怒りのバルスがさく裂したとも言われる作品だ。Wikipedia バルテュス ティアの輝きから引用する。

本作は、『天空の城ラピュタ』に似通った設定が見られるが、ラピュタのスタッフが参加している。なお、これに関わったことがバレたスタッフは、スタジオジブリから追放された

パクリ元になっているのは『天空の城 ラピュタ』だけじゃなくて『ルパン三世 カリオストロの城』もネタ元になっていて、特に敵役はムスカよりもカリオストロ伯爵に近いだろう。設定やストーリーやデザインといった要素をラピュタからパクっているんだけど、いや、奴はもっととんでもないものを盗んでいきました。それはシータやクラリスみたいなヒロインの純潔です!

バルテュス

「シータのレイプビデオは本当にあったんだ!」

そう『バルテュス ティナの輝き』にあるのは………『天空の城 ラピュタ』でパズーが死んじゃってラピュタにとり残されたシータがロリコンの本性を表したムスカに凌辱されるとか、『ルパン三世 カリオストロの城』でルパンが助けに来ないのでクラリスが侯爵に犯されまくってまんざらでもなくなってるとか、そんなのダメだけどあんなこといいなできたらいいなという80年代アニメオタクたちの歪んだ夢をかなえるようなシーンである。夢だけど夢じゃなかった。

バルテュス

アニメが始まるとこんな設定が出てくるが本編には関係ない。それよりもここで注目したいのは宮崎駿が『風の谷のナウシカ』と『天空の城 ラピュタ』で言いたかったことを一つにまとめた上に余計な形容詞を追加したこの文章そのものだ。

バルテュス

ヒロインは清純な少女という設定だが、本当に清純だったらこんな恰好はしないだろう。でもまあ女子中学生アイドルグループが露出の高い恰好するのと同じか。ヒロインは飛行石とかブルーウォーターに似たようなもんを持っています。当然ながらその石の秘密とは何らかの動力源です。

バルテュス

悪役に捕まったパズーっぽい人とシータっぽい人。後ろの悪役はムスカのコスプレだと思う。『バルテュス』のストーリーはラピュタで言うところのティディス要塞でのシータ救出戦までをコピっている。だからクライマックスはロボット兵の大暴れ。

バルテュス

まちがいなくムスカのコスプレコンテスト優勝者。言わなくてもわかると思うがこのシーンはシータっぽい人が捕えられて、パズーっぽい人が牢屋に入れられるところだ。このあとパズーっぽい人はレジスタンスたちに助けられるのだが、そのレジスタンスの一人に…

バルテュス

宮崎駿っぽい人が!30分未満の内容にも関わらずレジスタンス一人一人に設定があるのが虚しい。

バルテュス

敵の城は空中城になっている。ハウルの天空の動く城って感じ。

バルテュス

『バルテュス ティアの輝き』というタイトルの意味がわからんが、悪役の汗とかヒロインの愛液とかがイチイチキラキラしているので、きっとそれのことを意味しているんじゃないかな。普通だったらヒロインを捕まえた悪役は主人公が助けにくるまでヒロインに手を出さないのがマナーなんだけど、こいつはさっさと手ごめにする。コイツは真の悪だぜ!

そしてヒロインが強姦で処女喪失した悲鳴と共に飛行石が輝きだしロボット兵が動き出す。リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール!

この悪役(声優は玄田哲章!)の仮面が取れるとパズーっぽい人とシータっぽい人が悲鳴あげるんだけど、恐ろしい顔じゃなくてキャプテン・ハーロックみたいなイケメンなんだよなー。なんで仮面で顔隠しているんだろ?

あ、ちなみにラストはすっごく爽やかなハッピーエンドです。

スタジオジブリのスタッフが関わっているだけあって、アニメとしては結構シッカリしている。『天空の城 ラピュタ』のアニメ描写といえばディズニーのアニメーターたちの研修素材になっているほど素晴らしい。それがこんなエロアニメにも活用されているのに苦笑してしまう。ちなみにディズニー社のアニメ『アトランティス 失われた帝国』も『天空の城 ラピュタ』のコピー映画だ。日本では『ふしぎの海のナディア』のパクリとされているけど、『アトランティス 失われた帝国』の監督はナディアの存在はパクリ騒動が起きるまで知らずにいる一方で、『アトランティス 失われた帝国』でラピュタをやろうとしたことはインタビューで自ら語っている。まあとにかく『天空の城 ラピュタ』は偉大な作品だということだ!

存在そのものがネタバレの映画

月曜日, 10月 10th, 2011

メガ盛り

シリーズものだと、設定やキャスティングだけで前作がどうなるのかネタバレすることってよくあるよね。

え?猿の惑星って地球のことだったの?

猿の惑星 創世記

ザル

映画史上に残る衝撃のオチも、いまや一般常識。

え?仙崎って死ぬんじゃなかったの?

BRAVE HEARTS 海猿

ウミザル

猿つながり?。完結編と銘打った『THE LAST MESSAGE 海猿』だったけど、最近の映画によくある「死ぬ死ぬ詐欺」であった。

え?Lって夜神月に勝つためにデスノートにアレしたの?

L change the worLd

これは本当に知らない人が多そうだからぼかした表現にしておく。映画『DEATH NOTE』に使われた最後のトリックは結構衝撃的だ。そして『L change the worLd』の基本設定は映画『DEATH NOTE』のトリックから生まれているので、衝撃的なトリックが自動的にバレてしまう。

ちなみにこのトリックは原作漫画『DEATH NOTE』の没トリックだった。原作漫画『DEATH NOTE』の最後のトリックは別の意味で衝撃的でネット上の一般的なネタとなった。「ジェバンニ」でググるとわかります。

あと『ワイルド・スピード6』の製作が決まっているんだけど、これもキャスティングが発表されると同時に、『ワイルド・スピード MEGA MAX』の衝撃のラストシーンがバレることになる。リンク先ネタバレ注意!ファンが勝手に作った『ワイルド・スピード6』のポスターだけど、『ワイルド・スピード MEGA MAX』のネタバレです。