ハッシュタグ『#邦アニベストテン2023』+ブログのコメント欄を集計しました。
有効投票178名が選んだ2023年最高の日本のアニメ映画は……。
監督 | 八鍬新之介 |
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脚本 | 八鍬新之介、鈴木洋介 |
原作 | 黒柳徹子 |
スタジオ | シンエイ動画 |
注目されていなかった作品が、公開後に傑作であることが判明して口コミで話題になる。 かつて『時をかける少女』『マイマイ新子と千年の魔法』『若おかみは小学生!』などの邦画アニメが作り上げた伝説がまた一つ増えました。
抑えが効かない問題児トットちゃんが特殊な学園で戦時下を過ごすという日常を、アニメ的手法を駆使して描きました。 子供から見た感性豊かな世界と大日本帝国の日常を混ぜ合わせた傑作です。
監督 | 古賀豪 |
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脚本 | 吉野弘幸 |
原作 | 水木しげる |
スタジオ | 東映アニメーション |
南方戦線帰りで今は血液銀行に勤める会社員:水木が、地方の村で起きる犬神家の一族チックな殺人事件の謎に挑むというミステリー。 そこに謎の妖怪男が現れて『ゲゲゲの鬼太郎』へと繋がっていく。
水木しげるが描き続けていた「戦争の異常さ」を全編に漂わせています。血液銀行と覚醒剤を結びつけた設定はお見事です。 派手なアクションや男同士の絆など現代的な作り込み要素も魅力的です。
余談ですが私は『犬神家の一族』マニアなのですが 「いい加減、犬神家の一族はトリックを変えるべきだろ」 とずっと思っていたので、本作がそれをやってくれたのが嬉しいです。
監督 | 立川譲 |
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脚本 | NUMBER 8(南波永人) |
原作 | 石塚真一 |
スタジオ | NUT |
仲間と共に切磋琢磨して道を切り開いていく主人公たちに「メンバーチェンジは当たり前」というジャズの常識が突きつけられる。 青春アニメからさらに一歩踏み込んだ描写が実にリアルです。 映画ファン達から多くの支持を集めました。
監督の立川譲は2023年には『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』も監督し興行収入138億円という超記録を達成しています。
監督 | 雨宮哲 |
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脚本 | 長谷川圭一 |
原作 | 電光超人グリッドマン(特撮テレビ番組) |
スタジオ | トリガー |
2023年の映画界のキーワードとなった「マルチバース」。 とはいえ永井豪ワールドや特撮ヒーローにスパロボにプリキュアなど、日本ではアメコミに負けず昔からマルチバース的な世界観がありました。
そんな日本で本格的なマルチバースを銘打った本作ですが、 壮大なマルチバースを展開しながらも学校の文化祭やゴミ拾いをクライマックスにした素晴らしい構成。 マルチバースを「世界の拡大」じゃなくて「個人への収束」としたのはアカデミー賞受賞作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』と同じですが、 『グリッドマン ユニバース』は「日常生活への収束」まで描いたのでマルチバースをより身近に感じます。
監督 | 岡田麿里 |
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脚本 | 岡田麿里 |
原作 | 岡田麿里 |
スタジオ | MAPPA |
キャッチコピーは「恋する衝動が、世界を壊す」。邦アニが得意とする設定で毎年似たような作品ありますがどれも斬新な新作です。 もちろん本作も斬新なアイデアです。
商業的な邦題よりも、海外タイトルの「Maboroshi」のほうが映画の内容をよく表現しています。 主人公たちが幻の世界に入り込むと思わせておいて、主人公たちの日常を見ていた観客が「何が幻の世界なのか」に気がつくのです。
岡田麿里は前作の『さよならの朝に約束の花をかざろう』が四位でした。劇場長編はまだ二作だけですが、期待の大物監督です。
監督 | 宮﨑駿 |
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脚本 | 宮﨑駿 |
原作 | 宮﨑駿 |
スタジオ | スタジオジブリ |
漫画の神様が手塚治虫ならアニメの神様は宮崎駿。まさかこの企画で宮崎駿が対象になるとは! 「今までの宮崎駿はアレでも自分を抑えていたんだ!これが本気の宮崎駿!」 と無限に広がるイマジネーションに圧倒されっぱなしになる作品でした。
映画とは興行であり、世界中のあらゆる映画たちが宣伝に命をかけており、その宣伝も映画の楽しみの一つです。 しかし本作は宣伝を放棄!宣伝放棄される映画は今まで何度かありましたが、情報をシャットアウトし予告編すら無いのは異例を通り越して異常さすら感じました。 日本映画史上最大規模の超大作アニメが、完全に謎のまま公開日が一日一日と近づいていくあの緊張感は、後にも先にも2023年だけに味わえた感覚でしょう。
監督 | 板津匡覧 |
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脚本 | ⼤島⾥美 |
原作 | 西村ツチカ |
スタジオ | Production I.G |
アニメ映画ライターのネジムラ89さんの紹介文を引用します。
監督 | 江副仁美 |
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脚本 | 待田堂子 |
原作 | エイベックス・ピクチャーズ、タツノコプロ(Webアニメ) |
スタジオ | タツノコプロ |
今年の邦アニベストテン最大の衝撃は本作のベストテン入りです。元がWebアニメという異例さもあり、まったくのノーマークでした。 実際今年のベストテン内で投票人数が一番少ない作品です(にも関わらず8位)。
映画館がライブハウスで映画鑑賞は推し活的な時代になりつつありますが、本作はその新しい成功例でしょう。 大迫力のポールダンスシーンに衝撃を受けます。
翻訳:オギノ오기노さん
順位 | タイトル | 得点 | 人数 |
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1 位 | 窓ぎわのトットちゃん | 732.0 | 110 |
2 位 | 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 | 677.0 | 128 |
3 位 | BLUE GIANT | 623.0 | 99 |
4 位 | グリッドマン ユニバース | 484.5 | 87 |
5 位 | アリスとテレスのまぼろし工場 | 479.5 | 91 |
6 位 | 君たちはどう生きるか | 427.0 | 93 |
7 位 | 北極百貨店のコンシェルジュさん | 394.5 | 78 |
8 位 | 劇場版 ポールプリンセス!! | 343.5 | 55 |
9 位 | SAND LAND | 316.5 | 67 |
10 位 | ガールズ&パンツァー 最終章 第4話 | 279.5 | 58 |
11 位 | 映画プリキュアオールスターズF | 274.5 | 52 |
12 位 | 屋根裏のラジャー | 226.5 | 48 |
13 位 | 駒田蒸留所へようこそ | 222.5 | 49 |
14 位 | 特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテスト | 196.5 | 45 |
15 位 | 金の国 水の国 | 177.0 | 47 |
16 位 | アイカツ! 10th STORY 未来へのSTARWAY | 163.0 | 28 |
17 位 | 名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン) | 148.5 | 34 |
18 位 | 青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない | 108.0 | 20 |
19 位 | 劇場版 SPY×FAMILY CODE: White | 86.0 | 25 |
20 位 | 劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE | 84.0 | 18 |
21 位 | 映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ | 82.5 | 22 |
22 位 | らくだい魔女 フウカと闇の魔女 | 80.0 | 18 |
23 位 | 【推しの子】 Mother and Children | 69.0 | 12 |
24 位 | アイドルマスター ミリオンライブ! 第1幕~第3幕 | 56.0 | 11 |
25 位 | プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章 | 54.0 | 17 |
26 位 | 火の鳥 エデンの花 | 52.0 | 10 |
27 位 | 映画ドラえもん のび太と空の理想郷 | 46.0 | 15 |
28 位 | 劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト) | 34.0 | 11 |
29 位 | ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 NEXT SKY | 33.0 | 9 |
30 位 | 大雪海のカイナ ほしのけんじゃ | 30.0 | 7 |
有効投票数:178名
まさかアニメヒロインの頂点に黒柳徹子が立つ日が来るとは! 興行収入が10億円未満の映画がベストワンになるのは2018年の『若おかみは小学生!』以来です(ただしトットちゃんの興行収入は9億3000万)。
邦アニベストテンは毎年傾向があって「踊る少女」とか「空と少女」とかなのですが、2023年は「戦争」という傾向がありました。 1位、2位、6位が日本と戦争を描いた作品でした(10位も戦争だし)。
今年から監督・脚本の名前を記載してますが、理由が「知らない監督・脚本家が多いから」です。 片渕須直、新海誠、原恵一、細田守、湯浅政明などの大ベテラン監督たちの新作が無かったためか、 会社員監督(アニメ会社やテレビ局の製作子会社に勤務している映画監督)たちの作品が目立ちました。 また監督・脚本・原作が同一人物の「個人作家映画」で岡田麿里が宮崎駿よりも上回ったのは、アニメ界の新陳代謝という意味で喜ばしいでしょう。
人気コンテンツの『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』『【推しの子】 Mother and Children』は両方ともTOP30入りに成功。 今後の新作にも期待がかかります。
TOP30内の作品はいわゆるメディアミックスやシリーズ物だらけですが、上位層は単独作品が多いです。
邦画アニメは興行的に好調です。 2023年にインパクトがあったのは下記の4本です。いずれも今後の邦アニに大きな影響を与えると思います。
クラシックアニメとも言えるセーラームーンとルパン三世の新作にほとんど得点が入っていません。 『劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」 』が4点で、『ルパン三世VSキャッツ・アイ』が2点でした。 同じクラシックアニメの『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト) 』が興行的に成功し邦アニTOP30にも入っているので、 クラシックアニメが不人気というわけでもない。 クラシックアニメは新作を作ってくれるだけでも十分に感謝ですが、設定の縛りが強すぎて冒険が出来ない不自由さも感じます。
アニメ映画における「大ヒット」の指針である10億円越えを果たした下記3本はどれもTOP30落ち。興行収入と邦アニベストテンのランキングを併記します。
ただ『鬼滅の刃』は作品形態の問題、『アイドリッシュセブン』は作品のファン層と一般のアニメファン層が被っていないだけだと思ってます。
集計者の別企画 2023年の映画ベスト100 の集計データから洋画アニメだけを抜き出したランキングです。アメリカ製のアニメが圧倒的な中、チリの『オオカミの家』が大健闘です。
対象外の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』への投票が相次ぎました。