マトリックス・リローデッド ★★★★★
5つ星つけたけど本当は3つ星にしたい気分です。「マトリックス・リローデッド」には「マトリックス」を観たときの衝撃と感動はもう無かったです。「ネオと同じように観客にも思考と選択を投げかける」というのは成功しているけど、それで観客が納得出来るのかというのも難しい。それに映画の内容が哲学的かつ政治的というのは、オタクな製作側がやりがちな展開です。「じゃあ何で5つ星なんだよ!」ということですが、「マトリックス・リローデッド」は僕の2003年最高の映画なのに3つ星には出来ません。洪水のような情報の流れをもつ展開とそれを遥かに上回るアクションの嵐って、一度でいいから観たかった。
しかしまさかあそこで[カメラが回る]とは・・・。
エンター・ザ・マトリックス
「マトリックス・リローデッド」のパンフレットを読んでビックリしました。以前「マトリックスにサブ・タイトルが欲しい」で「エンター・ザ・マトリックス」って書いたのですが、これ本当にゲームの名前であったのですね。ということは邦題は「燃えよマトリックス」か!?
「マトリックス」に多大な影響を与えている「燃えよドラゴン」の原題が「エンター・ザ・ドラゴン」。
03/06/09 映画の壺(その他6)更新
ディズニー・アニメについて
以前にも書いたネタですが、ちょっとそれ関係の検索が多いのでもう一度。
ディズニー・アニメの最新作「トレジャー・プラネット」って「21エモン」にキャラ・デザインがそっくりですよね。この前の「リロ&ステッチ」もピカチュウのキャラ・コンセプトを逆にしたように感じられました(ただし「リロ&ステッチ」は家族愛と破壊劇を同時に描き切った素晴らしい映画だった)。ディズニーは過去にも「ライオン・キング」も「ジャングル大帝レオ」のパクリだと騒ぎになりました。確かこのときは日本の映画評論家の方が抗議していた記憶があります。
でもディズニーのこの手の騒動で面白かったのは「アトランティス」で、「海底2万里が原作で、神秘の力を持つ青い結晶を巡る、黒人美少女とメガネ小僧の物語」というストーリーは日本中のアニメファンから「そりゃ「ふしぎの海のナディア」だろ!」と激しいツッコミを受けましたが、それに反撃すべく来日した監督が「ナディアじゃないよ、ラピュタだよ」と騒動に収拾をつける気のない発言をしました。
確かに「超エネルギーを持つ神秘の都市と、その謎を解き明かす石と少女がいて、神秘の都市に到達することを夢とする少年が、犯罪者だけど気のイイ奴等と・・・」というプロットが同じです。それに「アトランティス」は、「ヒロイン救出戦が前半で、神秘の都市到着が後半」という普通の冒険映画と構造をあえて逆にした「天空の城 ラピュタ」を、元の構造に戻しただけです。僕もあのクライマックスはそのまんまラピュタじゃんと思いました。
でも僕は影響受けるのは良い事だと思っています。しかし手塚治虫、宮崎駿、藤子不二雄なんて意図的にパクっているとしたらセンス良すぎるぞディズニー!
21エモン:藤子不二雄の漫画、他の名作達よりも知名度は低いがかなり面白い。しかし宝島とは程遠い。
ザ・コアのミス
●
激しい磁気嵐が発生し落雷が頻発したためにローマのコロシアムは粉々に吹き飛ぶ。
石造りのコロシアムが落雷で?
03/06/08 映画の壺(マトリックス)更新
ザ・コア ★★
宇宙に肉体労働者達が出かけて地球を救う「アルマゲドン」を逆にした感じのディザスター(天災)&崩壊モノです。予告編ではディザスター・ムービーらしく凄惨な状況がバンバン描かれていますが、超ヒットが約束されている
「マトリックス・リローデッド」と同じ日に日本公開という現状のほうがよっぽどディザスターなムービーです。宣伝の人たち、スゴイ頑張っていると思うけど公開初日の土曜の渋谷の映画館ですら半分しか埋まっていませんでした。だけど内容はすごっく面白かった!もちろん別の意味で。
なんたって映画のストーリーがスゴイよ。
ある日突然ペースメーカーの利用者がバタバタ死に始めた(やっぱり電車の中では携帯切らなきゃ)。アメリカ軍は緊急に地球物理学の博士(主人公)と核兵器の博士を呼び出しこの現象を分析させた。
アメリカ軍将軍「
ペースメーカーが止まるなんて敵国の電磁波攻撃か!?」
地球物理学者「
そんな強力な電磁波兵器はありえません!」
そこで地球物理の博士はある結論に到達する。それは25万年に一度起きるという恐るべき現象
「地球内部の核(コア)が停止して、地球を覆う電磁界が消えてしまった。このままでは一年後に太陽光線に焼き尽くされ地球は壊滅する。」というものだった!別に今まで恐竜もマンモスもそれが原因で絶滅していないし、
25万年前には人類(ホモ・サピエンス)がいるのですが、まあそれは置いといて。
このままでは人類が危ない!ということでアメリカ軍と科学者は
「地下4200キロ、温度5000度、想像を絶する圧力がある地球内部に直接人手を送って、核爆発を起こせばまた回転するんじゃないの?」という作戦を立てる。(何でもかんでも核爆発で解決するという思想は「核ミサイルを作っちゃうぞ」と日米を脅す国より怖いよ)
作戦のためにアメリカ軍は、
世捨て人となった科学者が個人製作していた超大型ドリルマシン「バージル」を完成させ・・・
例え電車一両でも個人製作は無理だろうと思うが、バージルに乗り込み地球を救う6人のテラノーツ(地中潜行士)が選ばれる。
● ロバート船長
操縦士:スペースシャトルの優れた船長である。
● レベッカ少佐
副操縦士:同じくスペース・シャトルの搭乗員で抜群の操縦技術を持つ女性パイロット。
● サージ
博士:核兵器の専門家。
● ブラズ
博士:バージルの設計者。
● ジムスキー
博士:地球物理学の専門家。
● ジョッシュ
博士:地球物理学の専門家、本編の主人公。
何で博士だらけなんだよ!
博士たちは地上に残って後方支援だろうが!
操縦士も少ないし、オペレーターや技術者が一人も乗ってないもおかしいよ。誰が船の故障を直すんだよ!案の定博士達がヒーヒー言いながら船をいじっているし、
配線直せないしさ。
僕は映画の序盤で何で
博士達が操縦訓練に参加しているのかわかりませんでしたよ。
そうかわかった!宇宙空間でも飛ばせる電波と違って、
地中には電波が届かないので連絡が取れないから、科学者を連れて行くんだね!だって地中に潜ってからずっと連絡取ってないし。と思ったら映画の後半で地上と連絡を普通に取ったり、地上と
チャットをやったりしていました。わけわからん。(深い地中でも音波ならデータを送れる可能性があるらしいが何千キロも離れているので即時連絡は無理だろ。)
脚本以外にも特撮もイマイチで演出はモッサリしているので盛り上がらない(”酸素”のシーンは特に酷い)、
サンフランシスコ壊滅!とかいっても
橋が一つ落ちるだけ、科学考証はスゴイ事になっているし、別の意味で楽しめる映画でした。でもこの映画は「ミクロの決死圏」(博士が多いのはこの影響だと思う)感覚で見れば普通の意味で楽しめます、人間のエゴイズムの変化とかも面白かったしね。
軽めのネタバレ
それとね、劇中に「アメリカの敵国が作った[
最新兵器]」っていうのが出てくるんだけどさ、そんなすげえ[
兵器]を開発したのはどこの国ですか?冷戦が終わって以来アメリカの敵って、飛行機パクって突っ込む過激なイスラム原理主義とか、石油が出るけど輸出用の港が無い上に英米にアッサリ壊滅させられたイラクに、
国民全員が金正日という名のマトリックスを見せられている北朝鮮とか、
貧乏な国ばっかりじゃん。
03/06/06 映画の壺(マトリックス)更新、HTML修正
マトリックス ★★★★★
今まで「マトリックス」について色々語ってきたけど、僕の「マトリックス」が好きな本当の理由っていうのがある。僕は高校生の頃に押井守とかジョン・ウーとかジャッキー・チェンとかMANGA文化とか、そして何より映画という虚構の世界にすっげえハマッていた。部活でヘトヘトになった後にお金がないから自転車で一時間かけて、めっちゃ安いけど浮浪者だらけの映画館に行ったりしているボンクラ高校生だった。そんな高校時代にハマった物事全てがハリウッドで「マトリックス」という最新のカルチャーとして大爆発したので、まるで自分のボンクラ青春が肯定された!やっぱり俺が正しかったんだ、というような気分になった。それが「マトリックス」を好きになった本当の理由。でも「マトリックス」のレジスタンス達はクソったれな人生を歩んでいる夢から目が覚めて、もっと[最悪な現実が待っていたという事]を考えるとやっぱ僕は間違っていたのかなぁ。とりあえず明日も会社だ!残業で「マトリックス」は観れないぜ。(初任給で「マトリックス」のDVDを買ったけど)。
マトリックスのミス
●
ヘリコプターに乗る前のトリニティは手袋をしていなかったが、ヘリコプター内では手袋をしている。
ヘリコプターの中に運良くレディス・サイズがあったのかな?っていうかこの辺りのシーンは天気が変わりすぎ。
03/06/05 映画の感想更新
バウンド ★★★★★
本日の朝日新聞に「マトリックス」の事を「娯楽に徹したあっぱれな作品」と評した記事がありました。ちょっと待てよ「朝日新聞」も「マトリックス」も同じ左寄りの存在だろ!ちゃんと「マトリックス」で描かれている体制への闘争も読み取ってあげなきゃ!レジスタンス達は警官や警備兵を蜂の巣にするんだから。(あ、そりゃ朝日の思想と違うか)
テレビでウォシャウスキー兄弟のデビュー作「バウンド」を放映しますね。テレビなので相当カットされているのでしょうが、結構オススメ。
ウォシャウスキーも「バウンド」も知らない人のためにちょっと解説します、「バウンド」のストーリーは典型的なファム・ファタール形式です。
「舞台はシカゴ。悪事を働き御用となった一匹狼がいた。出所してからの奴はしがない配管工でその日暮らし、そんな奴の前にマフィアの大物幹部とその情婦が現れる。一匹狼と情婦は恋に落ちて愛し合う・・・。そして二人は大物幹部からマフィアの資金を盗み出す計画を立てる。」
すっごく古臭いストーリーに思えますが、実はかなり斬新です。だって一匹狼が女性だから。実際、主演二人をレズビアンにしただけで展開は予想外で斬新なものになります。また映画は中盤からはずっとアパート内の駆引きに終始し、展開に拡がりを見せません。サスペンス映画は状況を限定したほうが、遥かに面白くなるのですが、「バウンド」はきちんとこの辺りを押さえています。
もちろんウォシャウスキー兄弟ですので、低予算映画といえど映像の斬新さは相当なもの(昔のリュック・ベッソンも・・・)です。壁を隔てて連絡を取り合う女と女、電話線の中を疾走する声、ペンキの上を滑る銃。不思議な感覚を残す映像が、映画を観る興奮をかき立てます。特に低予算悪党モノ映画のくせしてSF感覚まで感じることができる中盤の銃撃戦は圧巻です。
こんな兄弟に何十億も注ぎ込んでスッゲエ銃撃戦を撮らせたらきっととんでもない映画が出来るに違いないと思った人物がジョエル・シルヴァーで、出来上がった映画が「マトリックス」でしたね。
ファム・ファタール形式:とある男がファム・ファタール(悪女、もしくは運命の女)と出会いドラマが生まれることで展開する形式。腐るほどある形式だけどハード・ボイルドがよく使う。
オマケ
そういえばマトリックスでも有名なシーン以外にも「壁の中を落ちるときに、レンガが壊れる」「薬莢が雨のように落ちてくるヘリコプターを見上げる」、「マトリックス・リローデッド」でも「観客の手前にある街灯が壊れて画面の奥へ落ちていく」という不思議な感覚を残す映像を魅せてくれます。
それと
どうでもいい画像を作りました。
03/06/02 映画の壺(マトリックス)、マッド・シネマ(TAXi3)、過去のTOP文更新
リベリオン ★★★★★
ちょっと忙しすぎて映画行ってないので、以前書いておいて載せなかった文章を。「シカゴ」とアレが出てくるまで
「リベリオン」は2003年のベスト1でした。
この映画のストーリーは
「感情を消す事が絶対の義務の未来社会、誰もが感情を消す精神薬を自分に打っている。そして主人公は感情を消さない人間達を強制排除(ときには抹殺)する職務に当たっていた。しかしある日主人公自身も感情を持ってしまった、さあどうする?どうやってこの社会で生き延びていく?」というものです。
通常
感情を無くした戦士の演技というのは大根役者が演じるものです
(例:80年代だとシュワ○ツェネッガー、90年代だとヴァ○・ダム、21世紀だとケ○ン・コスギ)。演技とは感情を表現するものなのだから演技ができない奴には無骨な男とか、冷徹な戦士とか、サイボーグとかいう役しか残りません。しかし「リベリオン」の主人公(感情の無い戦士)は卓越した演技力を持つクリスチャン・ベールです。何故ならこの映画の主人公は生まれて初めて感情というものを体験する男であり、そして感情が芽生えた事を必死に隠して生きていく男、これは大根役者には出来ない事です。
さてここまで書くと「すごく真面目なSF映画」に思えるかもしれないが、
全然違います。「リベリオン」は爆笑も可能な超B級映画なのです。この映画は「マトリックス」の亜種で
やってることは「マトリックス」と全く同じです。つまり”超高度管理社会”を”感情の無い社会”に置き換えただけで、社会に歯向かうレジスタンスに、そのリーダ、体制側の人間だったが真実を知って体制に立ち向かう主人公、等など共通点は大量にあります(こういうSF映画は似た設定になってしまうのは仕方ないのだが)。
「それじゃあ、弾丸をクルクル避けたりする新感覚アクションがあるのかよ!」とお思いでしょうが、
あります。
この映画の最大の見所は
新感覚アクション「ガン=カタ」です。武術とかには攻撃や防御の
構えの型がありますよね。この
型の動きをとっていれば敵の銃撃は当たらないで、こっちの銃撃ばっかり命中するという驚異の武術なのです。つまり銃撃戦の最中、敵のど真ん中に立って
「ホアチョー!」と構えをとれば弾は当たらずに敵がバタバタ死んでいくのです。もちろん構えている両手は拳ではなくて銃です。文章で説明しても仕方ないので、海外の
「ガン=カタ」ファンサイトを見てください、
マジですから。こんなカタを取れば弾に当たらないのよ。ちなみに「マトリックス」では金属探知機が反応してアクションスタート!となりますがリベリオンはその逆で・・・。
ハリウッドでは「マトリックス」の大成功やジャッキー・チェンブームが起きたときに
「東洋武術とHIP-HOPって通じるよな」ということで白人以外の人種(例:ジェット・リー、DMX、セガール)で作られた東洋武術系映画が連発されけど、「東洋武術と銃撃って通じるよな」という仰天の発想をするのは「リベリオン」だけです(「マトリックス」ですら銃を捨ててからクンフーになるのに)。
ネタバレ
でもこの映画、脚本の論理に問題があります。[
例えば未来社会ではペットは禁止で、動物は発見次第射殺(この時点で設定に無理がある)なのですが、感情が芽生えたクリスチャン・ベールは犬に愛情を抱いてしまう。犬は射殺しなくてはならない、クゥーンと鳴く犬の顔のアップ、困惑するクリスチャン・ベール。どうする?アイフル?
ボーナスまで待てなかったクリスチャン・ベールは仲間の警官隊を皆殺しにするのです。人間よりも動物のほうが大事という、倫理的におかしい事がまかり通っています。大体感情が無いからこそ今まで人間を次々に射殺してきたのであって、人間的な感情が芽生えたら殺人を続ける事は人間には出来ません。しかも今までの仲間を殺すなんて。]
マトリックスのミス
●
デ・ジャビュのシーン。キアヌの背景で赤いカーペットが消える。
ちなみにこの映画は赤が虚構を認識させるメタファー(赤いピル、赤いドレス、赤いカーペット・・・)になっています。
03/05/31 映画の壺(マトリックス)、サイトマップ更新
これから公開される映画
● チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル
予告編でケミカル・ブラザーズやプロディジーがガンガンかかってスタイリッシュなアクション映画のように見えるけど、ちょっと違うと思うぞ!アメリカ版予告編で壮絶なギャグだった、ボスレーが何故か黒人になっていて「わざっぷ!ちゃーりー!」と挨拶するシーンがカットされているし、他にもスパンキングやパンチラも無かったし。
● 踊る大捜査線2
この映画、製作発表から撮影、公開までの速度が異様に早い気がします。去年の「模倣犯」みたい。撮影しながら宣伝しているし、試写会も出来ないみたいだし、編集は大丈夫なのかな。
● 地獄甲子園
今週のチャンピオンに原作者の「映画化が決定した!」とコメントが載っていました。もうとっくに撮影終わっていて公開直前だろ。
● マトリックス・リローデッド
全国展開している先行ロードショーのおかげで、公開前だというのに随分大勢の方が観たようですね。前売り組も一般公開が待ち遠しくて悶えている最中では?でも映画掲示板のほうで話題になっていましたが、試写会やパンテオンでは字幕の識別が悪かったようです。先々行では特に問題に感じられませんでした。多分フィルムや字幕の調整を行っているので、一般公開版は綺麗なのが見れるかも?
訂正事項:ラスト・サムライですが戊辰戦争のときも鎧武者いました。
マトリックスのミス
●
マトリックスの舞台は当然アメリカである。
あれ?車が左側を走っているぞ?(注:ロケ地のオーストラリアは日本と同じ左側通行)