Archive for 9月, 2012

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土曜日, 9月 29th, 2012

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政治風刺コメディ『アイアン・スカイ』

土曜日, 9月 29th, 2012

アイアン・スカイ

ナチスがUFOに乗ってやってくる!といネタを映画化した『アイアン・スカイ』。フィンランドの人たちがこのアイデアの映画化を思いついて「製作資金募集」の動画を作って話題になったのも、確か5年くらい前の話。その映画が遂に完成して日本で公開された。設定がアレすぎるんだけど映画本編を観るとまっとうな政治風刺コメディになっているんだよね。映画のストーリーはこんな感じ↓ややネタバレありです。

第二次世界大戦以降、ずっと月面に隠れていたナチスたちが宇宙船に乗って地球に戻ってくる。なぜなら月面ナチスの最終兵器「神々の黄昏」は地球の高性能小型電子端末で動かすことができるのだ、そうiPhoneならね(劇中では特定の機種を使っていないけど)。アメリカにやって来た月面ナチスたちは時代遅れのナチス思想を振りまくが、それを聞いた保守派のアメリカ合衆国大統領が「良い思想ね!」と感銘を受けて、さっそく選挙キャンペーンにナチスを取り入れる。こうして映画は月面ナチスと現代社会のカルチャーギャップコメディになると思いきや、ナチスとアメリカ現代社会のギャップが意外と少ないという皮肉を描く。

アイアン・スカイ

『アイアン・スカイ』に出てくるアメリカ大統領。銃と剥製は保守派の記号。

アメリカ合衆国大統領のモデルになっているのは明らかにアメリカ保守派のヒロイン:サラ・ペイリンで、劇中では彼女のキャッチコピーが「Yes She Can !」になっているのが笑える。アメリカ保守派とナチスが意外とマッチするという展開は笑ってみられるけど、日本でも軍国主義時代っぽい思想が人気を呼ぶことはしょっちゅうあるので、そんな状況を考えると笑ってられない問題でもある。

超保守派の幼稚園で、園児たちが教育勅語と五箇条の御誓文を絶叫(1:35あたりから)。これ映画じゃなくて現代の日本の動画だからね。リンク先のコメントもステキ。

映画の後半では世界の主流国たち(アメリカ、ロシア、ドイツ、中国、日本、インド)の滑稽な姿も描くんだけど、その世界各国からはじかれているフィンランドがかわいい。クライマックスではスター・ウォーズやスター・トレックのパロディネタたっぷりのSF戦闘シーンもあってかなり面白い。映画史上に残る大傑作『チャップリンの独裁者』を、逆にナチスがプロパガンダに使ってしまうというアイデアもうまい。北朝鮮ギャグは俺が観たときは場内大爆笑に包まれたし、ネット動画で話題となった「相当閣下はお怒りです」のパロディもちゃんとやる。とにかくネタ満載で楽しい風刺コメディ映画だった。

オマケ:でも劇中でユダヤ人ネタとアウシュビッツネタだけは触れることが無かった。やはりナチスをパロディにする時はそこだけは絶対タブーなんだな。そういえばユダヤ人の強制収容所を舞台にした名作『ライフ・イズ・ビューティフル』でも「お友達がセッケンやボタンになっちゃった!(ユダヤ人の死体からセッケンを製造していた)」っていうセリフが物議を醸したので、本当に難しいのだろう。

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アウシュビッツのギャグがある『ハングオーバー!』だけど、この映画の主役級俳優二人がユダヤ人だ。

『夢売るふたり』のラストシーンについて

火曜日, 9月 25th, 2012

夢売るふたり

『夢売るふたり』を観たけど、すごく良かった。阿部サダヲと松たか子演じる夫婦が結婚詐欺(実際はちょっと違う)に手を染めるというストーリー。脚本・監督である西川美和が初の女性映画を撮ったんだけど、西川美和の女性の人生を見つめる視点が怖すぎるよ。特に巨漢の女性:ひとみ(江原由夏という女優が好演!)のエピソードが素晴らしく、彼女に関するセリフ全部に体中がゾワゾワする感覚を味わった。

さて、この映画のラストシーンはちょっとわかりにくい終わり方なんだけど、俺なりの解釈を書きます。ネットをちょっと調べた感じでは俺と同じ解釈の人がいないので、あまり本気にせず読んでください。以下ネタバレ。


注:完全なネタバレです!


映画のラストシーンには伏線があって、それは松たか子がドブネズミを凝視するシーンだ。詐欺に手を染めてお金を稼いだ阿部サダヲと松たか子は、念願のスカイツリーが見える店舗の購入と改築にこぎつける。二人の夢が叶いそうになる一方で、松たか子はその状況に不安を感じている。そんな時に松たか子がドブネズミを見つけてじーっと見つめるのだ。このドブネズミは松たか子の状況のメタファーだと思う。松たか子は不衛生でコソコソ生きるドブネズミが自分の姿であることに気が付いたのかもしれない。

そしてラストシーン、刑務所に入った阿部サダヲは見えるはずの無いカモメを見る(感じる)。空を飛ぶカモメは希望のメタファーなのかな、阿部サダヲにはまだ希望が残っているのかもしれない。そして同じく港でカモメを見る松たか子、つまりこの夫婦にはまだ通じ合う部分が………と言いたいところだけど、映画のファイナルカットで松たか子が見るのはカモメじゃあない。観客と目が合うんだよ。

『夢売るふたり』は全編に渡って松たか子の視線がポイントになるんだけど、最後に松たか子が観るのが観客なんだよね。登場人物の謎の視線で終わるという点では同じ西川美和作品の『ゆれる』と似ているんだけど、『ゆれる』と違って物語的な深い意味は無いと思う。劇中で松たか子はずっと他人の人生を見続けてきた。ラストシーンで観客はそんな松たか子に自分も見られるという不思議な感覚を味わせられるのだ。

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土曜日, 9月 22nd, 2012

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