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3D映画の退化の歴史

日曜日, 5月 15th, 2011

3D映画の退化の歴史………ってネタだからね。正確じゃない表現もあるよ。

人類が3D映画と触れ合う

ベオウルフ/呪われし勇者 劇場版(2枚組) [DVD]|2007年12月公開

↑めっちゃ実写っぽいけど、ジャンルは一応アニメ。
今となっては『アバター』から3D映画が流行したような印象があるけど、『ベオウルフ/呪われし勇者』『ルイスと未来泥棒』『ボルト』といったアニメ作品は以前から3Dだった。映画館で3D映像を初体験する子どもたちがキャッキャッ騒いでいると、俺も一緒にテンションあがったものだった。

アバターの公開日が決まる

2008年2月

アバター

『アバター』の主要な撮影が終わったときのジェームズ・キャメロン監督のカッコいいコメントをeiga.comから引用する。

これがいい作品になるか、偉大な作品になるか、ひどい作品になるかは分からないが、観客が想像したこともなかった映像になることは間違いない。そして、この映画の技術面には、この業界全体が興味を持つに違いない

傑作か駄作かわからないけど映像革命を起こしてやるぜ!という熱い想いが伝わってくる。このジェームズ・キャメロンの予言はすべて当たった。人類は3D映像の美しさを知り、業界は3Dブームに沸いた。ついでに『アバター』は傑作凡作で評価が分かれた。

人類は映像革命を目撃する

アバター|2009年12月公開

アバター

そして『アバター』が公開された。『アバター』の3D映像は本当に素晴らしかった。「3D映像=飛び出す映像」という従来の考え方ではなくて、奥行きを利用して「観客をより映画の中の世界に没頭させる」を目的とした3D映像だった。まさに3D時代の幕開けだったけど、このときは3Dがこんなにもウザったいブームになるとは思わなかったよ…

人類は3D映画の色調が悪いことに気が付く

アリス・イン・ワンダーランド [DVD]|2010年4月公開

『アリス・イン・ワンダーランド』のように色調豊かな映画を観ると、あれ?3D映画って何でこんなに画面が暗いの?2Dで観たほうが綺麗じゃない?という疑念が湧いてくる。

字幕が3Dになった!

タイタンの戦い 3D & 2D ブルーレイセット(2枚組) [Blu-ray]|2010年4月公開

3D映画ブームの実態は、3Dカメラで撮影されていない映像を後からコンピュータ処理で3D化したものがほとんどだった。『アバター』のように3D効果を計算しながら製作しているわけでもないので、「飛び出して見えるのは字幕だけ」という現象も起きた。

人類は3D料金が割高なことに気が付く

劇場版『ペ・ヨンジュン3D in 東京ドーム 2009』|2010年5月公開

ペ・ヨンジュン

3D料金は映画館側の値上げでもあった。通常料金よりも200円~400円分上乗せしているため、映画の一般料金は2000円を超えた。さらにシネコン各社は3D映画の各種割引を無効にした。一番酷いのは前売り券の扱いで、1300円の前売り券を持って劇場に行くと差額として800円を払わされたときはムカついたものだった。前売り券を買う意味が無いじゃん!(現在は多くのシネコンで割引が有効になっているが、3D料金自体はさらに100円値上げになった)

そんな状況の中、公開された『劇場版『ペ・ヨンジュン3D in 東京ドーム 2009』』は特別料金3500円というボッタクリをやったのであった。

『アバター』のタイトルが変わる

エアベンダー|2010年7月公開

アメリカのテレビアニメ『アバター』が実写化されることになったが、いかんせんタイトルが被っているために『エアベンダー』と改題して公開。でも驚異的につまらなかったので、今のところ3D映画ワースト1の座に輝いている。

人類は3D映画がなんか飛び出しているだけなことに気が付く

バイオハザードIV アフターライフ IN 3D|2010年9月公開

ナンチャッテ3D映画ではなくて、ちゃんと3Dカメラで撮影したホンモノの3D映画『バイオハザードIV アフターライフ』が公開される!期待して観に行ったけれど、銃弾やナイフが画面奥から飛び出してくる映像をひたすら連発。それって赤と緑のセロファンメガネで見る3D映画と同じじゃん…。

公開される映画のタイトルに3Dがとりあえず付くようになる

THE LAST MESSAGE 海猿 3D|2010年9月公開

このころから「映像がちゃんと3Dかどうか」はもうどうでもよくなって、3Dは単なる話題作りの道具になってしまった。

『THE LAST MESSAGE 海猿』は嫌いな作品だったが原発爆発後の今観るとかなりリアルだったりする。印象に残るのは、海保の人間がプラント火災を防ぐ命がけの仕事に駆り出されて「俺は救助ロボットじゃないんです!」って泣き出すシーン。これは「ロボットのように感情を無くせない、怖くて仕方がない」という意味だけど、今となっては東電が撤退を検討する事態だったのに福島第一原発で放水活動をやらされた公務員たちの叫びにも通じる。

公開が終わった映画でもとりあえず3Dになる

バトル・ロワイアル3D Blu-ray|2010年9月公開

3Dにしても話題作りに失敗する映画もあったね。

3Dやめる

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1|2010年11月公開

そして遂に3Dをやめる映画が出てきた。『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』は散々「シリーズ初の3D映画!」と宣伝したにも関わらず直前で中止となった。『アバター』が切り開いた新時代はどうなったのだろうか。

死の秘宝

3D効果があまり無かったのが、中止の原因らしい。

ちゃんとした3D映画でもつまらなかった

トロン:レガシー 3Dスーパー・セット [Blu-ray]|2010年12月公開

『アバター』以来ようやく本当にマトモな3D映画が観られる!と思ったけど、これもあんまり面白くなかった…。それと続編だと知らずに観た人多数。

ついに『アバター』が公開される。

アバター|2011年4月公開

『リアル鬼ごっこ』の山田悠介原作『アバター』の映画化。もうどうでもいいわ。っつーか『エアベンダー』みたいにタイトルを変えなかったのか。『リアルアバター』とかでいいじゃん。

ウンコ、チンチン、オシッコが3D映像になる。

ジャッカス3D|2011年5月公開

ジャッカス3D

「排泄物が3Dになったら面白くね?」という小学生レベルの発想を本当にやったのがこの映画。ノーモザイクで飛び出すウンコ(from 人間)はトラウマレベルだ。スローモーション3D映像は美しかったりするのだが、飛び出してくるのがディルドー(男性器の形した大人のオモチャ)だったりするのはまるで美しくない。現在絶賛公開中なので衝撃映像が観たい方は劇場へどうぞ!隣の女性にハンカチじゃなくてエチケット袋を差し出しそう。

『アバター』が切り開いた3D映画の新時代は、単なるウザいブームとなってしまった。でもまあ『アバター2』が公開されるときにはまた改善されると思うよ。その後は知らん。

3D映画のちゃんとした歴史はこっちでどうぞ⇒3D映画ブームを一過性で終わらせないためにどうすればいいのか、歴史と技術をひもとく – GIGAZINE

今年のイルカ漁の撮影に対抗する技術はアバターに学べ

木曜日, 5月 6th, 2010

以前も書いたけれど『アバター』はアメリカの負の歴史を描いている。アメリカはネイティブ・アメリカンから土地を奪い、戦争によって石油資源を確保したわけだが、これが『アバター』の背景になっている。もう一つ『アバター』の特徴的な要素として、宗教観がある。キリスト教やイスラム教の考え方は唯一絶対神というものだが、『アバター』で描かれているのは自然そのものを信仰するという考え方だ。これがキリスト教になると、自然は神が作り出したもなので自然よりも神のほうが偉く、地球温暖化も神の力ということになっている。アメリカ国内のキリスト系保守派は自分たちの宗教観を否定されたので『アバター』を痛烈に批判している。

映画『アバター』の地球人たちは、ナヴィたちの文化を理解しようとせずに、愚かにもナヴィを攻撃してしまった。そこには他文化を理解しようとしないアメリカへの批判も読み取れる。


『コーヴ』のポスター。”『わんぱくフリッパー』と『ボーン・アイデンティティー』を足した映画”というアバウトな映画評が書かれている。


その真逆のような映画がある。日本のイルカ漁を批判する目的で撮影した『コーヴ』だ。この映画の影響で、今年の和歌山県太地町のイルカ漁には海外のメディアがたくさん取材にくるだろう。それに対抗する画期的なアイデアを思いつきました。今年のイルカ漁の際には漁師の方々が全員体を真っ青に塗るというのはどうでしょうか?みんなでナヴィのコスプレするの。そうすればアメリカ人たちも「あれ?イルカ漁ってナヴィたちがパンドラで狩りをやっているのと同じことじゃね?」「っつーか俺たちがやってることってナヴィを攻撃しているのと同じ?」ということに気が付いてくれるかもしれない。「『アバター』のパクリだ!」って批判されたら「そうじゃなくて菊川怜のコスプレです。」と言い張れば大丈夫!

というか日本で勝手に『アバター2』を撮影すればいいんだよ、ストーリーは『アバター』の男女逆転バージョンで。ヒロインには『コーヴ』で泣き叫びながらイルカ漁に抗議しているヘイデン・パネッティーアを抜擢する。

ヒロインは町にイルカ漁の盗撮にやってきて海で難破してしまうが、町の青年に助けられる。青年は最初こそ「ホワイトピープルは帰れ!」とヒロインを罵るが、彼女が日本の文化を理解しようとしているので、その手助けをする。ヒロインも海の幸と共に生きる町の人々の生き方に憧れる。そしてヒロインと青年は恋に落ちるのだが……しかしその青年が実は町一番のイルカ殺しだった!ほどなくしてヒロインの手引きで、世界中のマスコミが町に集まってくる……。町の漁師たちはイルカ漁のテクニックで次々にマスコミたちを海に沈めていくが、高性能ボートには敵わない。マスコミとグリーン・ピースに囲まれて漁師たちが絶望に泣き伏せたとき、イルカ漁に反対していたはずのヒロインが伝説の大イルカを銛でブチ殺してトルーク・マクトとなる!

「『アバター』のパクリだ!」って批判されたら「そうじゃなくて『コーヴ』の続篇です」と言い張れば大丈夫!