パクリアイドル映画

11月 24th, 2012

TBSラジオでネタにしたんだけど、ベリーズ工房というアイドルグループが王様ゲームを映画化している。といっても原作は『王様ゲーム』という携帯ホラー小説で、はっきり言って『アナザー』のパクリ。「クラスの誰かが王様だけど誰もわからない」とか「この殺りくは過去から面々と行われている」とか「解決策を探るために…」とか、果てはラストシーンまで同じなので、どっちか片方を見るともう片方がネタバレしてしまう。『王様ゲーム』作中のホラー現象よりもネタバレのほうが怖いよ。

そういえば『Bootleg Alone』の対談ページで映画『アナザー』の話題になったときに、映画ライターの殿井君人さんが「アナザーと似たようなアイドルホラー映画がある」と言っていた。殿井さん本人に聞いてみたら、やっぱり映画『王様ゲーム』のことだった。

で、今度はAKB48でババ抜きを映画した『ジョーカーゲーム』という映画が年末に公開される。設定はというと、政府が特別な法律を施行して高校生たちにババ抜きをやらせ………ってまあ『バトルロワイヤル』だ。AKB48も話題作りで一人引っ張ってきたって感じで、他にはももクロを2008年に卒業したメンバーや、東宝シンデレラに選ばれなかった女優や、ミスマガジンに選ばれなかったアイドル、D-BOYSの弟的存在など、事務所を超えていろんな人たちが集まった映画で、設定よりもキャスティングにバトルロワイヤル魂が炸裂している。男女問わずアイドルが多数出演しているのに、音楽は上田剛士(マッド・カプセル・マーケッツ、AA=)で、先生役が螢雪次朗と古舘寛治という渋いチョイスが光っているので観に行ってみようかな。

あと最近モーニング娘。の『篤姫ナンバー1』を観たんだけど、これが『ちょんまげプリン』の性別を逆にしただけの映画だった。両方とも過去の日本人が現代日本にタイムスリップして現代の価値観と触れあうというコメディだ。

昔からアイドル映画ってのは何か別の映画のプロットをそのまんま使っている場合が多い。現代の低予算アイドル映画はその傾向がさらに強くなっているのかも。パクリと言ってしまえばそこまでだけど、こういうのって意外と面白いかもしれない。吉川晃司のアイドル映画『すかんぴんウォーク』みたいに、大森一樹監督のアメリカン・ニューシネマへのオマージュネタが連発された面白い作品もあるし。これから色々と他のアイドル映画観てみようかな。でも俺は映画の元ネタはわかるけど、アイドルの顔と名前がわからない…。

どうでもいいですが、アイドルでポピュラーゲームを映画化するなら整形アイドルを集めてふくわらいの映画化とかどうでしょうか。


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80年代ハリウッド恋愛映画を超低予算を逆手にとった手法で現代日本でやってのけた快作。監督は『アナザー』の古澤健。これもアイドル映画の仲間だと思う。エロいけど。

『Bootleg Alone』発売!日本のファンタジー映画

11月 17th, 2012

Bootlegの新刊『Bootleg Alone』が明日11月18日に文学フリマで発売されます!今回俺が書いたのはファンタジー映画についてです。例えば、今度公開される山田孝之の最新作『ミロクローゼ』の予告編はこんな感じのファンタジー邦画です。

もう、こういう映画は滅んだと思っていたのに…

俺はこういうファンタジー邦画が大嫌いで、今までの映画人生で映画館から途中退出した唯一の映画は、やっぱりファンタジー邦画『茶の味』でした。あと180秒間の白い画面で笑いを取ろうとする『ナイスの森』は人生最悪級の映画だったし、今年のファンタジー妄想暴走邦画『この空の花 長岡花火物語』は上映終了後に凄まじい怒りを覚えました。

ファンタジー邦画は作り手側が好きなジャンルですが、観る側の俺としてはちょっと勘弁してもらいたいジャンルです。でも日本映画史上に残る大傑作でキネマ旬報が「1980年代最高の映画」として選んだこともある『ツィゴイネルワイゼン』みたいな作品もあります。

『この空の花 長岡花火物語』の予告編 。ロンゲの髙嶋政宏が女にフラれて「この雨痛いな!」とがなるシーンがキツそうだけど、あんなのはほんの小手調べ。あと日本映画は「伝説の花火師」を登場させるのを禁止にしてくれ。

こういったファンタジーというジャンルに限らず、普通の日本映画でもファンタジー的な描写がやたら多い、最近大ヒットした映画『ツナグ』みたいな映画ね。あとは映画のクライマックスで突然非現実なことが起きたりするパターンとか。『Bootleg Alone』ではそんな日本映画たちをまとめてみました!

というわけで、みなさん興味があればぜひお買い求めください!

対談:ファイブス、殿井君人、ナマニク
「いじめ/拷問ホラーを見る理由」
ビデオバブル期の鬼っ子作品『ミミズバーガー』を自費でDVDリリースした伝説のホラーマニア、ファイブスさん。中古ビデオコレクターでホラー作品に造形が深い映画ライターの殿井君人さん。ブートレグのホラー・マエストロのナマニクさんによるいじめ拷問ホラー考雑談です。何故、つらくて不快な描写のある映画を好んで見ているのだろうか?という話です。
ナマニク
「The Bullies In The Bloodbath」

ホラー映画におけるいじめ問題について。80年代から現在までのいじめホラーを振り返りながらいじめの本質をえぐり出します。

深町秋生
ミニコラム「腹切りとかわいがりのユートピア」

蛆虫プロダクションさん代表もオススメしている、日本の誇る不条理いじめ大河ロマン『武士道残酷物語』について。深町先生が楽しく書いています。

速水健朗
「アメグラとは、『STAR WARS Episode:00 アメリカ帝国の青春!?』である。」

ジョージ・ルーカス『アメリカン・グラフィティ』と『スター・ウォーズ』に通低する思想について。フォースと共にあらんことを。

とみさわ昭仁
「こちとらヒヨコじゃ! ~不良になれなかった映画少年の、井筒映画不良芸人グラフィティ~」

こちトラ自腹じゃ!で有名な井筒和幸監督の芸人起用の不良映画について。不良になれなかった男たちによる不良映画をとみさわさんがまとめています。古書好きこうじて古書店「マニタ書房」をオープンさせ、文フリ当日は隣りでブースを出しています。『蒐集原人』バックナンバーが出るはずです。買い逃した人は要チェック!

真魚八重子
「ニッポンのスラム映画」

被差別民、部落をテーマに持った日本映画について。商業誌では好まれない切り口からの日本映画史になってます。「実はあの映画のあのキャラクターは部落出身だった!」という暗喩も読み解いています。

古澤健
「SとかMとか気軽に言うな!」

サディスト、マゾヒストの真の姿をあぶりだしファッションSMに苦言を呈します。『今日、恋をはじめます』公開も迫った「ふるにゃん」こと古澤健監督による渾身の一筆。

破壊屋
「ファンタジーな日本映画」

『桐島、部活やめるってよ』などでも顕著だった、唐突に現れるファンタジー表現についてのまとめです。思えば、ちょいちょい変な事になる邦画。

侍功夫
「復讐の手引き ~いじめられっ子の逆襲! 報復は映画に学べ!~」

『アニマルハウス』から、『ゴッド・ブレス・アメリカ』、『スタンド・バイ・ミー』の豚ケツホーガンくんまで。映画の中で描かれたいじめ逆襲方法から、世知辛い現代をサバイブするヒントを学べ!死んだ気になってがんばるくらいならブっ殺してやれ!という話です。

永岡ひとみ
「いろいろなでぶ」

いじめられっ子、いじめっ子、いろいろなデブを丸く描いています。ショッキングなのもあります。おおむねかわいいです。

マトモ亭スロウストン
「唯物史観で読み解け!(ワスは読み解かないケドも!)『怒りの鉄拳』進化論」&オマケ

ブルース・リーの大傑作『ドラゴン 怒りの鉄拳』(『精武門』)の「抗日」描写がリメイクのたび、時代によって変化していく様子と、中国テレビ事情です。軍服美女とお手伝い薄幸美女と峰なゆかさん(……)についてです。

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破壊屋文学フリマ昼オフ会

11月 17th, 2012

『Bootleg Alone』が発売される文学フリマでオフ会というか「俺がメシ食うとき一緒に行きませんか?」の募集です。ドタキャン&ドタ参加OKです。

日時 11月18日 日曜日
集合時間 11:45前後
場所 平和島
募集締切 当日飛び入りOK

参加したい方はメールフォームか、Twitterか、何でもいいので俺に連絡ください。が、連絡なしでも参加できます。

となりからみたトトロ 宗教編

11月 14th, 2012

幸福の科学のアニメ『神秘の法』がアカデミー賞の長編アニメ部門に出品されることになった。かなり衝撃的なニュースだったけれど、アカデミー賞に出品できる作品の条件はかなり厳しい。大前提である「ロサンジェルスで一週間以上公開された商業映画」という条件を満たすだけでも難しい。『神秘の法』の出品は「幸福の科学は全世界で支持されています!」という実績作りに必死な『神秘の法』の執念が実った結果だろう。

そうなると疑問が湧いてくるのは、海外でもそれなりに評価を受けている『借りぐらしのアリエッティ』ではなくて『コクリコ坂から』が出品されたことだけど、これも『借りぐらしのアリエッティ』が日本公開と北米公開の差が一年以上あるため出品資格が無いのが原因とのこと。

そういえば海外でも高い評価を受けている『Shall we ダンス?』はアカデミー外国語作品賞を狙える可能性が高かったんだけど、日本テレビが公開終了後に比較的早い段階でテレビで放映してしまったためにアカデミー賞の出品資格の「テレビで放映されていない」をに引っかかってしまった。日本テレビは目先の視聴率を優先させてしまい大魚を逃した形になった。

『コクリコ坂から』も『神秘の法』もアカデミー賞ノミネートは絶対に無理なので、今回の出品は形だけのはず。でもアカデミー賞は比較的外国の宗教に寛容なので『神秘の法』のほうが有利かもしれない。


日本の宗教アニメというと、海外では『となりのトトロ』が宗教映画として見られる場合がある。これは結構話題になってしまったネタらしく、宮崎駿自身が「となりのトトロは宗教映画ではありません」と否定している。日本人から見れば『となりのトトロ』は宗教映画だなんて珍説なんだけど、外国人から見れば確かにそう見えるかもしれない。そんなシーンを集めてみました。

父親がメイとサツキをトトロの居場所に連れて行くシーン。彼らが鳥居をくぐった先には寂れた神社があり、そこにご神木がある。このご神木の根本がトトロの住家だ。
3人はご神木にお辞儀をして、メイがトトロのお世話になったことにお礼を述べる。父親がご神木について「むかしは人と木が仲良かった」と説明するシーンがある。「むかし」っていうのは、もののけ姫でタタリ神が殺される前ですね。
そしてこれが海外の人が『となりのトトロ』を宗教映画と勘違いしてしまう原因。ここでメイとサツキがお祈りをしているように見えてしまう。実際は「雨宿りさせてください」とお願いしているだけだし、合掌しているのはお地蔵様に対する礼儀だ。まあお地蔵様は一応仏教由来なので、宗教的解釈は間違っていない。
ちなみに迷子になったメイはお地蔵様のところにいるので、ここが伏線のように感じる人もいるかも。
これもお祈り?
ここはナンマイダー。確かに宗教そのものですね。しかし自分の宗派すらよくわかっていない俺にとってお経とは、創価学会のなんみょうほうれんげーきょーと、それ以外くらいの認識だよ。

まあたったこれだけど、それで宗教映画だと思ってしまう人がいる。メイとサツキが日本人に見えないこともあって、西洋人のメイとサツキが日本で神様と出会う物語だ!という解釈まである。

原因は宗教観の違いで、「お祈り」は神へ捧げるものと明確になっているのに対して、日本人にとって「お祈り」はわりと漠然とした概念なので『となりのトトロ』で「お祈り」が出てきてもイチイチ気にしたりはしない。

それにキリスト教圏だと異形のモノって神の使いか悪魔の使いのどちらかなのが一般的なんだけど、日本の異形のモノは現世の何かが変化したものだったりする。トトロは昔から日本で生きていた生物だし、ネコバスは猫⇒化け猫⇒ネコバスと変化していったモノだし、マックロクロスケはススが変化したものだ。もちろん西洋にも妖精という概念はあるし、トトロ=妖精というのが海外の一般的な解釈なので宗教映画という解釈はほんの一部だ。でもトトロ=神の使いという解釈をする人もいたりする。

日本人から見れば『となりのトトロ』の宗教的描写は仏教と神道がごっちゃになっていて「宗教」を感じさせるものではない。都会から来たメイとサツキが田舎の古い文化に触れあう程度のものだ。でも『となりのトトロ』は日本人の森林に対する思いを元に作られていて、その思いはケルトの森林信仰に近いものがあるので、完全否定することも無いと思う。

宗教映画として完全否定したいのはやっぱり『神秘の法』で、あれは宗教映画じゃなくてカルト団体の普及促進用の映画だということは広く海外の人に伝えていきたいですね!


ちなみに海外版のトトロはなんとネコバスが喋る(というか音声機能がついている)。ネコバスの電光表示版は日本語なので、海外の人は読めないのでネコバスに喋ってもらわないとしょうがない。

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ビビる大木の火曜Wanted!!に出演します

11月 13th, 2012

大変急な告知になりますが、11月13日の本日火曜日にビビる大木さんのラジオ生放送「TBS RADIO 954 kHz │ ビビる大木の火曜Wanted!!」に出演させて頂くことになりました。テレビはニュースとお笑い番組とトリビアの泉とタモリ倶楽部しか見ない俺にとっては、ビビる大木さんは超有名人なのでお会いできるだけでも大変光栄です。ラジオ番組のテーマは以下のとおりです。

次回、11月13日の『大木ちゃんに教えてあげて』のテーマは、

『絶対に観なくていい映画教えて!!』

「時間を返せ!」と言いたくなったあの映画。

「後味悪すぎ・・・」観なきゃよかったあの映画。

そんなみなさんの観て思わず後悔した映画!

あなたの『絶対に観なくていい映画』を教えてください。

bibiru-w@tbs.co.jpまでお待ちしております!!

そういえば『新しい靴を買わなくちゃ』もコケたことだし、ラジオでは同じ北川悦吏子&岩井俊二の『ハルフウェイ』にでもついて触れるかとDVDをレンタルしてきたのですが、TKOこそがTBSの立役者だということを思い出しました。もうちょっとテレビも見たほうがいいかもしれませんね。

先方のTBS様にご迷惑をおかけすることのないように『こちら葛飾区亀有公園前派出所』『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』とかは王様の耳はロバの耳の要領で、今つぶやいたので満足しました。