Archive for the ‘映画ネタ’ Category

彼はいま素直になれていません

月曜日, 7月 19th, 2010

上映前に解説が流れる外国映画がある。三国志時代を描いた『レッド・クリフ』やナチスドイツ時代を描いた『ワルキューレ』の上映前には歴史背景の解説がある。この解説はもちろん日本オリジナルだ。『レッド・クリフ』や『ワルキューレ』は外国の歴史を扱った映画なので、日本人向けの解説を入れるのは理解できるんだが……トリック映画の『シャッター・アイランド』の上映前に映画のトリックに関する解説が流れたのは驚いた。そういえば『シックス・センス』が流行っていた頃は本編が始まる前に「結末を誰にもバラさないでください」とハッタリ的な注意書きが出てくる映画があった。『シャッター・アイランド』も同じようにハッタリ的な効果を狙っている(と思う)ので、トリック解説を批判するつもりはない。でも俺はトリック解説よりも別の注意書きの存在にちょっと違和感を感じた。こんな意味の注意書きが出てきたのだ。

登場人物の表情や目の動きに注意してご鑑賞ください

え?それって注意書きが必要なの?いや、これもハッタリの意味で注意書きを出したんだと思うけど。『シャッター・アイランド』には次のようなやり取りがある。レオナルド・ディカプリオ演じる捜査官が取り調べをしているシーンで
「あなたはレディスという男を知っているか?」
と聞き出す。そこで相手が
「知らない」
と答えるのだが、その表情がわかりやすいくらい強張っている。つまりその人物は「レディス」を知っている上に、「レディス」という質問に何か恐怖しているのだ。怪しい!注意書きを出した理由はこういったシーンがいくつかあるからだろう。でも映画を観るときに役者の表情から感情を読み取るなんて当たり前じゃん!少なくともアメリカ人たちは注意書き無しで『シャッター・アイランド』を観ているのだ。


シャンパン

とあるアメリカ映画の1シーン

とあるアメリカ映画を観に行ったときのお話。友人が自殺してしまった主人公が、友人の家に入って冷蔵庫をガチャっと開けるシーンがあった。そこにはシャンパングラスが2つ冷やされていて、主人公はシャンパングラスをジッと見つめるのだ。で、映画が終わると近くの観客たちが「あのシャンパングラスって結局なんだったの!」「わかんないよねー」と話し会っていた。あのシャンパングラスを見つめる意味は

  1. 自殺した友人は一人暮らし
  2. 友人はとある裁判の原告と合う予定だった
  3. で、シャンパングラスが2つ冷やしてある
  4. そんな時に自殺するのおかしい
  5. 自殺じゃなくて、殺されたのでは?
  6. というかシャンパンを開けて何を祝うつもりだった?
  7. もしかして裁判に大逆転できるほどの証拠が手に入っていたのか?
  8. ってことは殺したのは被告側?

と、冷えたシャンパングラスを映しているだけで、セリフが無くても主人公の推理が観客に伝わってくる素晴らしいシーンだと思った。劇中ではシャンパンにまつわる会話が自殺直後に出てくるので、上記の推理は意識せずとも出来ると思う。でも俺の近くにいた観客はそれが出来なかった。

もちろんこの映画を観たアメリカ人にもシャンパングラスの意味がわからない人はいるだろう。だけど今の日本の大衆向け映画だったら、シャンパングラスを見つめているだけじゃなくて、主人公が説明的な独り言をつぶやく演出をやりそうである。


以下は映画『UDON』の中盤のネタバレ。

映画『UDON』の主人公:ユースケ・サンタマリアは莫大な借金を抱えているのだが、父親が勝手に返済してしまう。ユースケ・サンタマリアと父親は仲が悪いので、ユースケ・サンタマリアは怒り出してしまう。そのシーンを小西真奈美が解説するのだ。

その時の彼は”ありがとう”そう素直に言えない自分に誰よりも腹を立てていたのだと思います。

うどん

『UDON』は全編こんな感じである

いや、そんなの解説する必要ないだろ。それを表現するのが演出であり演技じゃないの?このように『UDON』では、そのシーンの感情や意味を常に小西真奈美が解説する。映画館で観た時はこの解説に唖然とさせられたけれど、もし『UDON』をDVDで観ていたら、唖然とする前に「あれ?小西真奈美のコメンタリー機能がONになったのか?」と思い込んだかもしれない。

大衆向けの日本映画は誰でもわかるように作られており、演技や演出を理解できなくてもセリフで説明してくれる。作り手だけが悪いとは思わないが、俺はこういうセリフを「フールプルーフ」と勝手に呼んでいる。設計用語のフールプルーフとはちょっとズレるけど。ちなみにバッド・ムービー・アミーゴスはこの風潮を、目をつぶって鑑賞しても映画の内容がわかるという意味で「バリアフリー」映画だと批判した。

前述の小西真奈美の解説については「何で破壊屋は批判するの?あったほうがわかりやすいよ」と思っている人もいるだろう。『GOEMON』の紀里谷和明のように、セリフでテーマを説明する脚本を批判されると、「セリフでテーマを説明して何が悪いの?」と逆に聞き返してくる映画監督も出てきた。俺もバカみたいにわかりやすい映画は大好きである。でもドラマを組み立てていくような映画で説明セリフが出てくるとシラける時があるのも事実だ。人間の表情やシャンパングラスを映しているだけでも、雄弁に語ることはできるのに。

サバイバル・オブ・ザ・デッドと大いなる西部

火曜日, 6月 29th, 2010

『サバイバル・オブ・ザ・デッド』のストーリーは、『大いなる西部』をモチーフにしている。『大いなる西部』は二人の権力者が支配権を巡って争っている。『サバイバル・オブ・ザ・デッド』も開拓時代風の島で二人の権力者が争っている。『大いなる西部』のグレゴリー・ペック演じる主人公は争いを好まない紳士的な男だけど、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』の主人公は『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』で学生たちから略奪していた民兵だ。悲劇の先の希望を描いている『大いなる西部』と違って、『サバイバル・オブ・ザ・デッド』は先の見えない絶望を描いている。

『大いなる西部』は開拓時代の粗暴な争いを描いているけど、現代を舞台にした『サバイバル・オブ・ザ・デッド』のほうが文明的に後退しているという事実が面白い。文明的に後退している原因は、ゾンビという状況だけではなくて人間たちの争いも大きな要因だったりする。

大沢たかおと綾瀬はるかの出会いの瞬間

日曜日, 6月 20th, 2010

大沢たかおと綾瀬はるかの熱愛が発覚した次の週に、二人の新作ドラマの発表会見があって、週刊誌の熱愛記事が全部「関係者によると~」になっていて、熱愛というよりも話題作りのヤラセとしか思えない。でもそんな二人が競演した映画『ICHI』は、大沢たかおと綾瀬はるかの絆を描いた映画だ。なかでも大沢たかおと綾瀬はるかが出会うシーンはかなりお気に入り。大沢TKOがかわいくて萌える。熱愛発覚記念にこのシーンを紹介しよう。

大沢TKO

悪党たちに目を付けられて貞操がピンチの綾瀬はるか。ちなみにこの映画の綾瀬はるかはオープニングクレジット前に強姦されそうになり、オープニングが終わるとこの悪党たちに強姦されそうになり、クライマックスで中村獅童に奪われそうになり、回想シーンで強姦されるという悲惨な役回り。

大沢TKO

当然ながら綾瀬はるかは最強の剣士なので、ピンチなのは綾瀬はるかの貞操ではなくて悪党たちの生命である。悪党たちが斬られるシーンを期待していると、「待った!」とジャマが入る。

大沢TKO

ちょっと待ったコールと共に走ってくるジャマ男。

大沢TKO

大沢TKOが登場!正しいことを言っているセリフなのに、何故か笑ってしまう。

大沢TKO

当然怒る悪党。

大沢TKO

通りすがりの大沢TKO。

大沢TKO

悪党を怒らせてしまい腰が引けるTKO。

大沢TKO

「ちょ、待て」と焦るTKO。

大沢TKO

10両を差し出してこの場を収めようとするTKO。

大沢TKO

悪党は当然の結論に至る。で、この後TKOは大ピンチに陥るのだが、そこで綾瀬はるかが悪党たちと戦うわけだ。

大沢TKO

綾瀬はるかに助けてもらってTKOは「あんな奴ら拙者一人で、十分成敗できた」と言い張る。漫画『ピューと吹くジャガー』のハマーに近い。ただしTKOが演じるキャラクターはさらに隠れた設定があったりするので、油断ならない展開が続く。少なくとも『座頭市 THE LAST』よりはずっと面白い映画だよ。

こんな映画のエンドクレジットは嫌だ!

火曜日, 5月 18th, 2010

懐かしの鉄拳風にいろんな映画の珍エンド・クレジットを紹介します。

よく読むと他の映画のネタバレが書いてある

エンド・クレジット

『ホット・ショット2』

思い出の写真がレイプ

エンド・クレジット

『Deep Love アユの物語』

映画のラストシーンを批判する

エンド・クレジット

『ドッジボール』

映画に投資した人たちの名前が出てくる(DVDのみ)

エンド・クレジット
(匿名組合とは投資の用語なので、実名が出ているのはおかしくない)

『忍 SHINOBI』

グッズの通販先のURLが出てくる

エンド・クレジット
(この映画が製作されたときのアンヴィルはまだ貧乏だった)

『アンヴィル 夢を諦めきれない男たち』

文字が出てこないので、ずっと真っ黒

エンド・クレジット

『リボルバー』

エキストラの名前まで出てくる

エンド・クレジット

『ふたりの男とひとりの女』

エキストラの名前まで出てくる上に、エキストラがめっちゃ多い

エンド・クレジット

『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』

映画の宣伝を頼まれる

エンド・クレジット

『不都合な真実』


これは映画評論同人誌「Bootleg Vol.0」で俺が書いた『エンド・クレジットの世界』からの抜粋&追加ネタです。「Bootleg Vol.0」では他にも色々な映画のエンド・クレジットを取り上げてます。「Bootleg Vol.0」は5/23の文学フリマで何冊か販売するそうなので、まだ入手していない方は是非!

数字の1から50までを映画で数える

月曜日, 5月 17th, 2010

算数のお時間ですよー、1から50まで映画のタイトルで数えてみましょう。

32は欠番

35は欠番


はい、終了です!でもいくつか欠番がある。検索すると出てくるんだけど、あまりにもマイナーすぎる。このラインナップでも「原爆投下機B-29エノラ・ゲイ」と「31km」がマイナーすぎるんだけどね。それと意外と50番台も充実しているんだよな。『ケミカル51』『ロシア52人虐殺犯 チカチーロ』『54 フィフティ★フォー』『北京の55日』『パッセンジャー57』がある。それと「センチ」「ミリ」「キロ」って言葉がつくと数字の値が変わるんだけど、そこは勘弁してください。

これ以降の数字を取り挙げるとなると、単に「タイトルに数字が含まれている映画」になってしまうが、いつくか挙げておこう。



前回「記事のタイトルに数字があるとウザい」なんて書いたけれど、さっそく俺もやってしまった。というか、実はこのエントリを作っている間に前回のエントリを思いついた。